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それに対して、がぜん湧くのは闘争心!
据え膳食わぬは男の恥だ。
......今の場合はチョッピリ違うが、とにかく王子様はやる気になった。
よーし。絶対に「まいった」って言わせてやるからな!
「いくぞ、ソウゲツ。覚悟しろーっ!」
凛としたかけ声とともに、少年はガラ空きの懐に飛びかかった。
*****
......あれからどのくらい経っただろう?
案の定、大佐はびくともしなかった。
その表情は相変わらず涼しげであり、こちらが疲れて手を休めると「どうした? もうおしまいか」などとすまして挑発的な視線を向けてくる。
それに対して、口では「まだまだ!」と返しながらも、王子様は内心かなり焦っていた。
「(な、なんで? なんで、なんでっ?)」
これまでにも友達とこうしたじゃれあいをしたことがあったが、これほど手応えのない相手は初めてである。
自身の弱点である腹はもちろんのこと、経験上知り得たくすぐりポイントを余すところなく狙ったけれど、それらが全てむなしい徒労に終わった。
のれんに腕押しとは、まさにこのこと。
すでにこちらの手は出し尽くしている。
このままじゃ......。
「(負けちゃう......)」
そ、そんなのイヤだ!
何かひとつくらい、この人に勝ちたい。
僕だって男なんだぞ......。
少年が悔しさに顔を歪めたその時だった――。
「じゃあ、こういうのはどうだ?」
見上げると、いつからか大佐が優しく微笑んでいた。
「そろそろ決着をつけよう。次の攻撃でおしまいだ」
「次でおしまい......?」
王子様はゴクリと唾を飲みこんだ。
「ああ。そして、もしも私が負けたら君の願いを何でもひとつだけ叶えてあげる」
「え!?」
「どうだい?」
予想もしないこの提案に、王子様は真っ赤になって身を乗り出した。
「ほ、本当に? 本当に願いを叶えてくれるの?」
「男に二言はないさ」
「わ......」
自信たっぷりに頷く大佐の表情に、王子はトキメキを隠せなかった。
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