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【終章】11
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・・・・・
「頼む! そこをどいてくれ!」
切羽詰まった男の声に、エレベーター待ちをしていた客達は「何だ、何だ?」と驚きつつも、ぞろぞろと道を開けはじめた。
只ならぬ雰囲気に、声の出所の方を見ると、腕に軽々と男児を抱えた色男がこちらに向かってのしのしと歩いて来るではないか。
子供が体調でも崩したのだろうか?
可哀想に……。
そんな客達の心配をよそに、男はガラ空きのエレベーターを見つけて乗り込むと、さっさとドアを閉めて行ってしまった――。
*****
「んんっ......ぁっ、ふ」
7階のボタンを押すと、ソウゲツはすぐさま僕の唇を求めてきた。
普段と違って貪るように激しいキスは、彼が1秒だって待てなかったことを教えてくれる。
これがさっきまで秩序正しく射的銃を撃ちまくっていた人だなんてとても信じられない。
僕は頭をクラクラさせながらも、全てを彼にあげる気持ちで応戦していた。
だけど、いいのかな?
こんな所でキスなんかしていたら、今にもドアが開いて誰かに見られちゃうかもしれないよ?
お部屋まで我慢できないのは僕も同じだけど、でも......。
「ソ、ウ……ここダメ、誰か乗ってきちゃったら......」
「リオ、いい子にして」
「っ......」
どうしよう。口調は優しいけど、とてもやめてくれそうにない。
それどころか唇を啄む動きに蜜を加えて一段と甘さをちらつかせると、小さな子供でもあやすように僕の気持ちをあっさりと楽しい触れあいに誘い込んでしまった。
僕はもう彼のことしか考えられなくて、不覚にも途中の5階でドアが開いたことに、ちっとも気が付かなかった......。
*****
よっぽどそのことが可笑しかったのか、7階でエレベーターを降りたソウゲツはすこぶる上機嫌な様子で笑っていた。
僕はといえば、彼に抱っこされたまま胸元に顔をうずめていじけている。
「だから言ったんだ......エレベーターの中はダメだって」
「今さら何を言ってるんだ。あんなにいい顔をしておきながら」
「チューしてるところ人に見られた!」
「ちゃんと追っ払ってやっただろ?」
「僕、二人っきりの時じゃなきゃ、もうしないって決めたからな!」
「それは困った」
言葉とは裏腹に嬉しそうな声を出すと、ソウゲツは懐から部屋のカードキーを取り出した。
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