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「あ、ちょっとトイレ行ってくるから進めといて!ヘマしたら許さないからね!」
言いながら全力で走っていく斎原君。相当我慢していたのだろうか。
ここからは戦争だった。
「俺がやるううううう!」
「無っ!僕だってしたいです相沢くん!!」
「俺だって!」
「俺のが上手いっすよ!!」
誰一人として譲ろうとはしないこの遠慮のなさ…。
なんて言ってる僕もやりたくてしょうがないので、一歩も引くわけにはいかない。
でも、あんまり言い争っても斎原くんが帰ってきちゃうし…。
この棟は、一番下の階にしかトイレがないというとても不便な造りをしている。いつもは煩わしくてしょうがなかったけど、今日は感謝でしかない。
斎原くんが帰ってくるのが少しでも遅くなれば、ゲームを出来る時間が増えるのだから。
「じゃ、じゃあこうしましょう!ジャンケンで!」
「ふっ、よく言ったな…そういうのは言い出しっぺが負けるって決まってんだよ!」
「そ、そんなの迷信です!じゃあいきますよ!」
「「「最初はグー!ジャーンケーンポンッ!!!!」」」
っっっっっしゃああああああああああああ!!!!
唸りたくなるのを必死にこらえて、ゲームコントローラーに飛びつく。
みんなはパーで僕だけがチョキだった!!!
まさかのこの人数のジャンケンで、僕の一人勝ちだったのである。
「っんでだよおおお!!!」
みんな悔しそうにしているけど、代わってあげないからね!!
周りを無視してゲームを再開する僕に、みんなは落ち込むのをやめて飛びついてくる。
「仕方ねえからお前のゲームセンスを見てやろうじゃねえか…」
「望むところです!」
失敗は許されない。斎原くんのゲーマー具合だと、もしもミスをして何かあれば本気で抹殺されかねない。
アイテムも全て入手しつつ、周囲の様子を伺う。
「っおおおお!!敵の大群がきたあああ!!」
「やべっやべっ、こんなの死んじまうううう」
本気でやってる中、周りでこんなに叫ばれたらうるさいだろうと思っていたけど、案外そうでもない。むしろ彼らの雄叫びが闘争心を燃やしてくれる。
そして、彼らが騒ぐおかげで、逆に冷静になれるのだ。
「僕の銃の腕前を甘く見ちゃダメですよ!っと!!」
シンプルにハンドガンで攻めていく。エイムもリロードの速度も悪くないと思う。それくらいに僕は自分の腕を自負している。
「すげえええ!もう敵がいなくなった!!」
「瞬殺だったな……」
「ただいま!!大丈夫だった?!」
斎原くんがゼェゼェと息を切らしながら聞いてきた。たぶんノンストップで階段を駆け上ってきたんだろう。
「紫乃!コイツの腕ヤベェ!お前に匹敵するくらい上手いぞ!」
「ふうん…ねえ、じゃあ今度オンラインで一緒に戦ってくれない?!今、ハマってるゲームがあるんだけどなかなかボスが倒せなくて…」
「任せてください!今晩にでも!!!」
ガシッ!!固い握手で僕たちは結ばれたのだった…。
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