アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
みんなで歩いて、高畑君と斎原君の家に向かう。
学校からそんなに遠くないらしくて、歩いて十分くらいのところらしい。
「二人はいつから一緒に住んでるんですか?」
「ミチルのとこには中一ん時から世話になってるよ」
てっきり高校からだと思っていた。普通この年で友達と一緒に住んでいるなんて、遠い学校に来て親元を離れて、ルームシェアをしている人くらいだろう。
なんで中学生のときから一緒に住んでいるのか気にはなったけど、聞いていいことか分からなくて黙っておいた。
きっと、彼らは複雑だ。二人だけじゃなくて、この五人全員が。
みんな、普通の高校生にはない雰囲気や大人っぽさを持っているから。それだけ苦労してきたって言うことなんだと思う。
僕にだって言いたくないことの一つや二つはあるけど、やっぱり奥には踏み込んでいけないことにさみしさを感じてしまう。
「…さみぃ」
「桐谷君薄着ですもんね…あ、マフラー要りますか?」
「いいのか?」
「はい!どうぞ!」
持ってきていたのを忘れて巻いていなかった赤色のマフラーを渡す。ぼくが巻くと野暮ったくなっちゃうけど、桐谷君はモデルさんみたいだ。
「ここだよ」
そこには普通の一軒家が建っていた。さっきの言い方からいてそうじゃないかとは思っていたけど、やっぱり高畑君は家族と普通に暮らしているらしい。そしてそこに斎原君も。
ただいまー、靴を脱ぎながら言って、斎原君は普通に中へ入っていく。みんなもそうで、僕だけ上がっていいのか分からずに立ち止まっていた。
「行くぞ」
こうして僕が迷っているときに、引っ張ってくれるのはいつも桐谷君だ。差し出された手を握って、僕も廊下を進んだ。
高畑君の部屋は二階らしい。階段を上って一番奥の左側だった。コンコンと、ノックをして斎原くんが扉を開ける。
「入るよー」
ぞろぞろとみんなが中に入っていく。覚悟を決めたはずなのに、途端に緊張してくる。
「なに、みんなで来たの~?俺のこと大好きかよ」
ケラケラと笑う声が聞こえて、高畑君がいつものように茶化す。特にいつもと違った雰囲気は今のところ無くて、少し安心した。
「ほらよ」
来る途中に寄ってきたコンビニで買った煙草を渡したのだろう。高畑君がありがと~とお礼を言う。
入る。入る。決めたんだ、もう嫌なことから逃げないって。
僕はドアの手前で立ち止まっていた。手を引いてくれていた桐谷君も、一緒に部屋に入らずにいる。
「恭哉も篠宮も何してんの~。入ってこいよ」
見えなくても僕が来ていることは分かっていたのだろう。そして、なんで中に入らず立ち止まっているかも。
俯いている僕の頭を撫でた桐谷君。顔を上げると、頑張れ、そう口パクで言われて。中へ引っ張られた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 102