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「お〜お疲れさん」
音楽室に着くと、ちょうどミチルくんがお弁当を広げているところだった。
「腹減った」
「どーぞどーぞ、好きなだけ食べてくださいな」
今日も、栄養バランスも彩りも勿論味も、ミチルくんのお弁当全てが完璧である。
毎日これを食べられてるのってすごい幸せだよなぁ。
「あ、そうそう。今日ここにくる途中、清水に会ってさ。最近珍しく学校に来てるじゃないか、って言われて、先生に褒められたのなんか幼稚園ぶりだわ〜と思ってたら」
一度言葉を切って、ミチルくんはおにぎりを口に入れる。
「来なくても卒業させてやるから湧くな害虫とか言われたんだけど〜。ちょっと今度悪戯しない?」
また、そんなことを。あの人は本当にどうかしていると思う。生徒にそんなことを言うのなら、どうして教師なんかになったのだろうか。
「何する?何する?」
那智くんが小学生みたいなニヤケ顔で聞くと、紫乃感がある提案をした。
「アイツさ、今古典のさや先生狙ってるらしいよ」
「…お主も悪よのう」
たった一言だけで、何をするか那智くんもミチルくんも分かったらしい。
僕にはサッパリなんだけど、三人はどんどん話を進めていく。
「はい、じゃあ俺さや先生おびき出す役ね」
「じゃあ俺清水連れてくわ〜」
「俺役なくね?」
「たぶん那智が一番ディスられ上手だから途中で俺に出くわして」
「おっけ」
ニヤニヤニヤニヤ、三人の顔は悪代官そのものだった。いや、ディスられ上手ってなんだよ。そんな言葉初めて聞いた。
「ほどほどにしとけよー」
注意する気があるのかないのか分からない藤くんの言葉に、紫乃くんがケラケラ笑う。
「清水もこれで、俺らに対する態度改めたらいいのに」
「絶対改めないよね〜むしろ悪化でしょ」
分かっているならやめたらいいのに、どうやらおとなしくしている気は微塵もないらしい。
「作戦決行日時を決定せよ」
「明日放課後、十六時より開始」
「アイアイサ〜」
「…あ!」
呑気にごっこ遊びみたいな会話をしていると、那智くんが何かを思い出したように声をあげた。
「今日の放課後、バレンタインイベントの本戦の練習するぞ!」
「練習ってなんのですか?」
「当日の流れが書いてあるプリントよんでねぇの?ステージでウォーキングしてポーズ決めたあと、ステージから降りて体育館一周しなきゃなんねーんだぞ」
「えっ、そうなんですか?」
「おう。ステージじゃ遠いから近くで見れるようにってことらしい」
なんでそんなに徹底してるんだ…。全然遠目からだけでいいのに。
「だからウォーキングの練習するぞ!!」
ーーー放課後
恭哉くんと再び音楽室に訪れると、待ってましたと言わんばかりの笑みで那智くんに出迎えられた。
ほんと、たかが優勝賞品だけで何でこんなに気合入ってるんだよ…。
でも、もう本戦に僕が出なきゃいけないことは決まってしまったから、どうせなら格好良く決めたい。
ウォーキングが下手で笑われるとか嫌だし、最悪転んだりなんかしたら羞恥心で立ち上がれなくなりそうなので、ありがたく那智くんのお誘いに乗ることにした。
「まずはステージでの分だな。ステージの袖から交互に出ていくのは決まってて、あとは全部自由なんだと。順位が奇数のやつは、観客から見て左から出るらしい」
「じゃあ、僕は奇数だから左ですね」
「ステージを特設して凸方にするらしいから、まずステージの真ん中まで行った時と、前に出て行った時で一回ずつポージングな」
「はいっ!」
「問題はどんなポージングにするかだよね〜」
「小悪魔っぽいポーズ考えるぞ」
小悪魔…。考えてもらっても、僕そんなのできるかな…。
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