アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
「そんな、別に隠さなくてもいいですよ清水先生!」
「そうですよ〜、先生はただ素行の悪い俺らを更生させようとしてくれてるだけなんですから〜」
素行が悪いって自分で言うのかよ。
「そ、そそうなんだよ、全く手が焼ける奴らだなぁお前らは!」
「すいませ〜ん、俺ら屑で害虫みたいなモンらしいから、世話かけまくりでぇ」
「く、屑で害虫…?そんなこと言ったんですか清水先生…!」
「い、いやぁそれは…!!」
「大丈夫ですよ、さや先生。清水先生が俺らのために言ってくれてるってこと、分かってますから」
「そういうことじゃないのよ、相沢くん。どういうことですか?清水先生。教育者としてあるまじき発言です」
「そ、その、別に…!大体コイツらが滅茶苦茶なことばかりしているからいけないんです!俺は教師として、注意をしただけです!」
「注意?生徒に暴言を吐いただけでしょう、二人に謝ってください」
「なっ…!」
普段はおっとりしているさや先生だけと、今回はどうやら本気で怒っているらしい。それ以上何も言わず、キッと清水先生を見つめている。
「別にいいですよ〜さやちゃん先生。俺らも悪いと思ってないのに謝ってほしくないし〜」
「そうそう、元はと言えば俺らが悪いから」
先程までのニヤケ顔はどこへやら、わざとおどけたように話すミチルくんと、少し寂しそうに笑う那智くん。
本当にあなた達って人は…。
二人のその悲しげな雰囲気を見たさや先生は、ますます怒りのオーラが強くなった。
さや先生の雰囲気を見てとうとうマズイと思ったんだろう、清水先生はガバッと勢いよく頭を下げた。
「も…申し訳ない、お前達のことを思うあまり言い過ぎてしまって…」
「べっつにィ?俺ら気にしてないですからァ!」
「そうそう~、ちゃんとクズなのは自覚してますから~」
ニヤニヤした表情が隠しきれずに、少し漏れてしまっている。ついでに笑いも漏れ気味で、二人の肩はプルプルと震えていた。
「こら!高畑くんも、そんな自分のことを悪く言わないの!」
「ごめんごめんさやちゃん先生~」
ようやく頭を上げた清水先生の顔は、リンゴみたいに真っ赤っかだった。そりゃそうだろう、那智くんによると清水先生はさや先生に片思いをしているらしくて、そのさや先生の前でこんな大恥をかかされたんだから。
「そ、それじゃあ、俺はこれから用事がありますから…!」
逃げるように慌てて去って行った清水先生を見て、那智くんとミチルくんと紫乃くんはハイタッチをかわしていた。
「全く…。清水先生は、少し言い過ぎるところがあるから、気を悪くしないであげてね」
眉を下げてそう言った先生は、清水先生のフォローも忘れていなかった。なんて出来る人なんだ。
「それから、もう少し授業に出てほしいな-?みんなの古典文学の感想おもしろいから、たまに受けてくれるときを凄く楽しみにしてるんですよ。篠宮くんは毎回、いてくれますね」
にっこり、温かい笑みを向けられて、ついつい僕も笑顔になる。
「はぁーい、ごめんなさい!さや先生の授業にはちゃんと出まーす!」
「「俺も~」」
「こら、嬉しいけど他の先生の授業も出るのよ-」
コツン、紫乃くんの頭を小突くとじゃあまたね、と言って、さや先生は花に水をやりに行った。
「…もしかして!あれが!!」
「小悪魔だな」
「だな」
「天然って信じてたいけどね~」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
80 / 102