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1-10 会長さん
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「新入生は、着席してください。次は、生徒会会長からの挨拶です」
「匠ちゃん、耳ふさいで」
「え、なん…」
きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
なんで?と聞き返すよりも早く、建物が壊れちゃうんじゃないかってくらいの叫び声。
え、なんか副会長のときよりもすごい気がするんですけど…
耳が痛い…のむちゃん…忠告が遅すぎるよ、とぅーれいとだよ…
「生徒会長の、園田です」
その一言で、さっきまでの歓声が、ぴたりと止まる。
真黒すぎるくらい真黒な、髪の毛。
ほりが深くて、鼻が高くて、まるで芸術品みたいだ。
会長は壇上にいるからちゃんと見えないけれど、瞳の色も真黒なのかな。あの人みたいに、全部真黒なのかな。
「入学、おめでとうございます。」
にっこりと、会長が笑った。すごく綺麗だ、と思うのと同時に、すごく冷たい、と思った。なんだろう
…笑顔が偽物みたいだから?
「性格わるそお…」
「匠ちゃん、しーっ!親衛隊の卵に殺されるよ!」
思わずつぶやいたら、隣ののむちゃんに怒られてしまった。
うっとりと会長を見つめるまわりの皆さまとは話が合いそうにないなと思いつつ、始まる前に配られた、入学式しおりを開く。
『生徒会長 挨拶 -園田響-』
そのだ、ひびき。
きれいな名前だなあ。音に関わるような字はなんとなく親しみが持てる。
よく見ると、「響」の字が旧字で、似合ってるなと思いながら響会長を見た。
ほほ笑みをたたえて、僕たちの入学を祝う言葉を読んでいる。
やっぱりあの人と同じ「黒」が印象的で、頭にちらつくのは、あの人のこと。
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