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1-34 忘れた
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「匠ちゃん、会長のことそろそろ許してあげたら?」
「へ?」
「匠ちゃんかわいいしさ、出来心だったんだよ、きっと」
「…」
いきなりのむちゃんがそんなことを言い始めたからちょっと驚いた。多分、あのキスのことを言っているのだろうけれど、僕は少し戸惑う。
「え、僕、べつにもう怒ってないよお?」
「そうなの?」
「そりゃ誰かにバレたら大変だからぁ、気をつけてはいるけどお…
僕が、いや、僕とのむちゃんといっちーが言わなかったら、誰にも伝わらないでしょ?なら大丈夫だしぃ」
「うんうん」
「会長ももう覚えてないだろうしぃ、僕もわりとどうでもいいっていうか…」
もう、起きてしまったことは仕方ない。
一哉とのキスが上書きされたからって、それがなんなんだろう。
あの恋は、きれいに保存できるようなものでもない。
「会長のことどうでもいい、なんて言えるの橋本くらいだな」
「えへへ、ありがとぉー」
「匠ちゃん、褒められてないぞ」
「てへっ」
「……かわいいから許す。かわいくなかったら僕、多分殴ってた!」
意外にのむちゃん、リョウキテキ!
「とにかく匠ちゃん、宝探し、がんばろーね!」
「だからヤダってばぁ…」
「たまにはピアノ以外にもやる気と興味持とうよ匠ちゃん!」
えー、それでもやっぱりめんどくさいのはヤだな。
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