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1-50 出会い
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ー カタン
ピアノに没頭し始めた頃、音楽室の中で物音がして、ぴたりと手を止めた。顔をあげると、並ぶ机の陰から誰かがむくりと起き上がった。
「んー…あれ、俺…」
寝ぼけているのか、ゆっくりと周りを見ながら、少しずつ覚醒していく彼。
あ、この子、外部から入学してきた子だ。てか、えええ?椅子つなげて寝てたみたいなんですけど。
「真中、雪ちゃん?」
「え…?ごめん、誰?」
「ぁ、橋本匠、です。クラスは違うけど、雪ちゃんといっしょの1年生だよお」
「あ、そう、なんだ。今年この学園に入った真中雪です。それにしてもよく知ってたね、僕の名前」
「うん、だって、ちょう有名だものお。外部からの入学生って、あんまりいないからあ」
頭いいんだねえ、と言うと、雪ちゃんは「いやいや、必死に勉強してギリギリセーフ!」と白いほっぺをほんのり赤くした。
「ピアノ弾いてたの、匠くん?」
「そおなの、ごめんねえ、起こしちゃって。まさか寝てるなんて思わなくてえ」
「あはは、そうだよね、制限時間までまだあるし、休もうかなって思って」
「もう宝までたどりついた?」
「うん、もちろん。匠くんは?」
え、それ聞いちゃう?聞いちゃうの?
「まだ1問目がおわったトコなのお。僕、びりっけつだったあ」
「あはは、そうなの?なのにピアノ弾いてるなんて、余裕だね?」
「ぜったいに分かんないだろうなっておもってぇ。1問さえ終わってれば、参加したことになるだろうし?」
そう言うと、雪ちゃんはクスクスと笑った。
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