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1章(2)
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リノルはたった一頭の相棒を探し求めるのをやめた。
どんな高価な馬も買えるようにと貯めていた貯金を使って、小さな牧場を買い取った。
そして二頭の栗毛の仔馬と、一頭の鹿毛とともに暮らし始めた。
牧場の敷地には納屋と馬小屋があり、コテージ風の、古びた木造の家がついていた。
勤めていた研究所が閉鎖になると、リノルは道具類の一部を引き取って、この家の一室に運び込んだ。
周囲の者には獣医だと名乗り、近所の農場で声がかかると出かけていった。
町からさほど遠くない、緑ゆたかな丘陵だった。
引退した夫婦などが、こぢんまりした農場を買って暮らしていた。
周辺には、リノルの親戚や、父の知り合いが所有する別荘があった。
そうした近隣の人々が懇意にしてくれるので、やがて馬のいる家を定期的に巡回するようになった。
夏の休暇が始まると、友人たちが町から遊びに来た。
彼らは遠乗りに出かけ、釣りをし、パーティをひらいて朝まで飲み、そして去った。
最後にフレディが来た。
町の流行最先端の、オリーブがかった褐色のコートを着込んでいる。
赤褐色の髪の、毛の先があいかわらずあちこちへはねている。
「これはこれは」
馬たちを見て、フレディは言った。
「やっと新しい馬を買ったのか」
リノルは栗毛の首を撫でながらにっこりした。
「なに、こいつらも馴れてくれると、かわいいもんだよ」
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