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7章(4)
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フレディのいなくなったバスルームで歯を磨く。
コップをもとの位置に戻し、鏡に映る自分の蒼ざめた顔から目をそらした。
リノルは自分の部屋に戻ってベッドに入った。
しばらくしてフレディが入ってきて、ベッドの端に腰かけた。
部屋着の上から織りの粗い紺色のセーターを着ている。
それを見て、次の言葉がなんとなくわかった……
「言えよ。何があったのか言ってみろ」
リノルはきつく目を閉じて、答えなかった。
「俺が聞きたいからじゃない。おまえは誰かに話さなきゃならないんだ」
リノルは首を振り、子どものように毛布を引き上げて顔を隠すようにした。
「じゃあなんで俺を呼んだんだ? 言いたくないならもう行くぞ」
リノルはとっさに毛布を押しのけ、肘をついて半身を起こした。
「言いたいことがあるのはきみだと思ってた。何でも言ってよ。ぼくに怒ってもいい。したいことはなんでもしていいよ。なんでもするから……」
フレディは無言でベッドから立ち上がった。
「待ってよ……!」
リノルが引き留めようとして腕をつかんだ瞬間、彼は向き直り、きつくリノルをかき抱くと、ベッドに押し倒して身動きできないほど押さえつけてきた。
驚きと、恐れが身体を突き抜けた。
リノルはすくみあがり、止める間もなく苦痛の喘ぎが漏れた。
フレディはリノルを突き放すようにして身を起こした。
「ばかなのか、おまえは? そんな身体で何でもするなんて言うな。受け止められもしないくせに! なんで挑発するんだ? そんなに傷つけられたいのか?」
リノルは起き上がって座り直した。
無意識に毛布の端を両手で握りしめる。
「わからない……わからないよ。ぼくはただ、きみとやり直したいだけだよ。本当に反省してるんだ。ぼくは自分勝手で気がきかない男だから……」
「それで……?」
ため息とともに吐き出したフレディの声は震えていた。
「ああ、わかったぞ。おまえは学習したんだな。誰かがおまえに教えたんだ……もしおまえを求める男がいたら、ようするに何を求めるかってことを……!」
「何を言ってるの? ああ、ぼくもう頭がおかしくなりそうだよ。きみに拒まれたら、どうしていいかわからない。頼むから前みたいにそばにいてよ……」
「俺がいつおまえを拒んだ?混乱してるのか?」
「混乱なんかしてない。きみ、前は一緒に寝てくれたこともあったじゃないか」
フレディは首を振ってベッドから立ち上がり、背を向けた。
「今はできない。今おまえのそばで寝たら……俺はたぶん、おまえを壊すよ」
音を立てて部屋の扉が閉まる。
リノルは力尽きてうつぶせにベッドに倒れこみ、枕に顔をうずめた。
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