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赤いポスト
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3682のあとではなく、3836を挟んだ逆側に新しいポストはきた。
真新しい、赤い、ポスト。
引き起こされて塗り直された3836はやあとあいさつしたけれど、赤いポストは返事もしない。
ずっと遠くを見つめてる。
どこを見てる誰を思ってる。
聞こうにも、名前もわからない。
しょうがない、“赤いの”と呼ぶことにした。
赤いの。
今日は寒いな。
赤いの。
今日はましだな。
赤いの。
赤いのじゃない。
あたしは4300。
すげえ。
切り数字じゃん。
おれも切り数字がよかったなあ。
赤いポストは何も言わない。
ただ、クールにおれを見てる。
そしてつんと、やっぱそっぽ向いた。
かすがさんがきた。
ほかのやつ連れて。
取り出しや交換教えてる。
待ってくれ。
かすがさん、やめる…のか?
前ののがみやしのづかみたく。
そいでこれからそいつが…?
お嫁行くんだ。
旦那さん外国出張中だからさ、あたしもその国行くの。
寂しくなるよ。
誰に話しかけてんですか?
新人に急かされて、かすがさんは去った。
何度も何度もおれを振り返りながら。
世界が色を失った。
雪を払ってくれた手も、
汚れを落としてくれた手も、
もうない。
二週間黙ってたら、
ねえ
突然赤いポストが言った。
こっちを見もせずに。
ねえ。
あたしがいるじゃない。
冷たい口振りの優しい言葉に
おれは一気に号泣した。
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