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快晴〔3〕#兄
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時刻は真昼を過ぎたころ。
仕事もひと段落し、頭のスイッチをOFFにして
ひとつ大きな伸びをする。
もの欲しそうに運動する腹を満たそうと、重みのある黒い小さなバッグに手を伸ばしたその時だった。
「原元。 めし…」
「うわっ!」
突然肩に手を置かれ、今にも誰かを呪い殺めてしまいそうな邪気のこもった声で頭の真後ろから名前を呼ばれる。
自分を飯に誘う物好きなヤツなど
この建物には1人しか居ない。
驚かされた事への文句を吐きながら渋々と後ろを振り向く。そして口を開け、再度その身を固まらせた。
「お前… どうしたんだよその顔面……。」
目に映ったのはお馴染みの同僚。擦った女の目元みたいに下瞼を黒く染め、全身の水分を出し切ったかのように頬をこけさせたお調子者小坂の姿だった。
「後でたっぷり聞かせてやるよ…。ふっ。」
不気味に渇いた笑みを浮かべる小坂。
異様な雰囲気を感じ取ったのか、周囲が奇妙なモノを見る目でチラチラと視線をよこし始めた。
昨日の今日だ。何があったのかはおおよそ察しがつく。
例の件で小坂には大分世話になっている。恩を返すつもりで軽く背をたたき、慰めるようにして2人柔らかな自然光の下へと身を出した。
「フら”れ”た”ぁ”~~! 俺の理想の彼女ガァぁぁ!」
…だろうな。
また長話になりそうだと溜息をつきながら
質素な広場のベンチの上へと静かに腰を下ろした。
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