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平穏〔5〕
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ピピピッ ピピピッ ピピピッ ピッ ーーーー
頭上から聞こえる無機質な音に目を覚ます。
大きな欠伸を1つして立ち上がり、リビングへと向かう。
背の後ろからソファを覗き込んだ。
兄はまだ寝ている。
顔を洗い、軽く身なりを整え、
2人分の朝食を作り始める。
いつもと変わらぬ穏やかな朝。
幸せな日常。
時計に目を向け時間を確認する。
「おはよう兄さん。時間だよ。起きて 。」
軽く叩きながら、いつもより早めに声をかけた。
「ーんん。…」
何度か繰り返して、やっと兄が唸りを上げる。
自分と違い、兄はとても朝に弱い。
眉間にしわを寄せ、「ん”〜」と声を漏らしながらブランケットの中でモゾモゾと動く。そんな姿が愛おしくて、自然と顔がふやけた。
「おはよう。起きた?」
「んー… はよ……。」
横たわったまま伸びをした
少し細まった兄の目と目が合う。
その瞬間、驚いたように大きくまぶたを開き、
寝坊をした時と同じ様なスピードで兄が飛び起きた。
一瞬の出来事だった。
その様子に自分も驚き、戸惑いながら声をかけた。
「…… どうしたの? 大丈夫 ?」
「あっ。 …いや、何でもない。ただ…
ただ、変な夢をみた気がする。 」
そう、兄が口にした。
2人の平穏が、
音を立て…
崩れ始めた
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