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家
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しばらくすると百合子も落ち着いたのか、葵の手を握りながらソファに2人で座っていた。
「母さん、今日は僕が夕飯作るよ」
「え…」
「いいからいいから、母さんはテレビでも見てて?」
「…葵がそう言うなら、お願いしちゃおうかな」
「うん」
葵はそう言うと、キッチンへと向かった。
「冷蔵庫の中にあるものだったら…カレーくらいしか作れないな」
ひとりそっと呟くと、手際良くカレーを作り始めた。
葵自身、外に出かけることはかなり少なかった。
百合子が心配するということもあるが、外に出るくらいなら家でゆっくり過ごす方が好き、というのがいちばんの理由だった。
その分百合子が料理をしているのを見ることが多く、料理をすることに自然に興味を持つようになっていった。
今では主婦並みの手際の良さで、一般家庭の食卓に並ぶほとんどのものは作れるようになっていた。
「あとは煮込むだけ…と」
一段落ついた葵は、今度は洗濯物を畳み始めた百合子の手伝いを始めた。
学校から帰ってきたら家事の手伝いをし、授業の予習や復習をする。
これが葵の大体の放課後の過ごし方である。
早く帰れば帰るほど、百合子が安心してくれることを、葵はわかっていた。
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