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冬は寒いから嫌いだ
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寒さが厳しくなり始めた11月上旬、会社から出て来るサラリーマン達は、マフラーと手袋、コートを羽織い、白い息を吐きながら歩いている。
その中でも一際厚着の男、相田は、早足でいつもの乗り場へと向かっていた。
「だから冬は嫌なんだよっ…」
半ば強引に定期券を押しつけて、閉まり始めた扉にぎりぎりで駆け込む。
帰宅ラッシュの時間帯に乗ったわりに、車内にあまり人は乗っておらず、空席が多かった。
さむっ。
肩を震わせながら1番近くの席に腰を下ろすと、次のホーム到着のアナウンスが、流暢な英語とともに流れ出した。
「次は◯◯〜」
30分程揺られながら、目的の駅に電車が滑り込む。アナウンスよりも少しだけ早く立ち上がり、出口へと足を進める。
「腹減った……」
軽快な駅メロに連れられて、止まっていた人々は、早く降りろと急かしてくる。急激な温度差に堪らず身をすくめるが、どうしたって寒いのは変わらない。
「ラーメン食ってくか」
メニューが決まれば、あとは行動するのみ。空腹の胃袋はもう限界を超えていた。
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