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ラーメン屋に行きたい
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駅から歩いて5分。
行き付けの焼き鳥屋が見えてきた。
そこから少し歩いて、薄暗い路地を右に曲がれば、いつものように麺を啜る音が聞こえてくる
………はずだった。
「おまぇふざけてんのか??
とっとと認めて、謝らりゃいいんだよ、なぁ?」
「…は?」
「しらばっくれんのも大概にしろよ!
みさのことしってるよなぁ??」
「えっと…?」
「あ゙ぁ?」
右に曲がれば、そこには大きな人集りと、ガッチリとした作業着姿の男が殺気だって語気を荒げていた。
背が高くすらっとした身体に、カジュアルな服装で、一見するとモデルのような清潔がある、もう1人の男は、見るからに狼狽している。
顔は見えないが綺麗な容姿をしているのだろう
男2人が口喧嘩してるだけで、こんなにも大きな人だかりは出来やしない。
「おいおい……勘弁してくれよ」
目の前で繰り広げられている光景に愕然としつつ、空腹とイライラは増していく。
終わりそうにない会話は、暫く聞いていても埒が明かず、人だかりからは野次さえ飛んでいる。この状況を楽しみ始めている。
「いい加減にしてくれよ…」
なんでこんなに寒い日に、こんな場所で喧嘩するんだよ。
肩を落としてみても、周りが気づくはずもなく、相田は小さく身震いする。
家でカップラーメンでも食べるか。
スマホを取り出し、ラーメン屋に背を向ける。
駅まで歩くことすら億劫で、タクシーを頼むことにした。
「あーついてねぇ」
吐き出した言葉は白い息と共に、怒鳴り声の中に掻き消される。
これが相田にとって、彼との初めての出会いだった。
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