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後輩ってなんですか。戸田先輩
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結局どういう事なのか聞けずに、1日が終わってしまった。
期待の新人、もとい、待ちに待った後輩のことで分かったことと言えば、他部署で、なんだか凄いイケメンがくるらしい、と噂されていたぐらいだ。
「男、なんだろうな」
帰り支度を済ませて、エレベーターを待つ。朝は少し暖かかったが、日が沈んでしまえば、やっぱり寒い。
マフラーに顔を埋めながら歩いていると、ふと、誰かに名前を呼ばれた。
「あいだっ!」
後ろを向けば、戸田先輩が手を振って俺を呼んでいた。
「あっどうも」
戻りたくないし、早く帰りたい気持ちが、その場で礼をするだけにとどめた。
気さくで面倒見がいいと評判の戸田先輩は、4年前、俺の教育係をしてくれていた。
その場から俺が動かないことを知ってから知らずか、結局、先輩がこの距離を埋めてくれた。なんとなく申し訳なくなって、俺は両ポケットに一つずつ入れてある、特大カイロの一つをあげた。
「おーでけぇ」
大きさにひとしきり驚いて、笑い声を上げていた先輩は、寒さなんて気にしていない様に感じた。
俺より三つも上なのに…若いな…
「最近どう?」
「最近ですか…。手が悴んでてちょっと作業ペース落ちてはいますけど、特に困ったことはない、ですかね」
なんだそれ。っといいながらクハハと先輩は笑った。
「まーでもあいだの場合は、よく言うと働き者だけど、悪く言えば働き過ぎだから、丁度いいかもな冬は」
「働き過ぎてないですよ。
それに、丁度良くても冬は嫌いです」
「蟻っぽいな」
「やめてくださいって」
「ごめん、ごめん」
少しも悪いと思ってない癖に
そう思いながら、見えてきた駅に足取りも早くなる。
この寒さの中、長々と話をしたいとは思わない。
そういえば昨日喧嘩していた奴らはどうなったんだろうか?
「俺も遠井和さんとこ、また顔だそうかな」
「あー部長も喜ぶと思いますよ」
「ほんと?それじゃあ、明日にでも呑みに誘っちゃおうかな〜」
先輩は半年前に、部長に昇格して、他部署へと移動になった。社の中でも、イケメン!だとか、デキる男と言われて来ていた先輩を見ると、やっとか、と思うくらいに、部長昇格は当然の空気だった。
「俺も行きたい、です」
「へっ?」
「いや、だから、俺も…行きたいなって」
「別に良いけど…寒いよ?」
「全然、大丈夫です」
「遠井和さんの事だから、2,3時間は確実帰してもらえないと思うけど…」
「大丈夫です!それでも先輩と呑みたいので!」
「…ん。了解!」
ポンポンと頭を叩いて、先輩は駅の改札を抜けていった。
あっという間に、ホームの中に消えてしまった先輩。少し必死すぎたかな?と後悔する
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