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ふらりと休日にゆきが俺の家に来ては夜までダラダラと何をするわけでも無く一日を過ごす
どこかへ遊びに行くわけでもない
友人と言うには乏しく他人と言うには多すぎる
そんな関係が3ヶ月程だろうか
なんの変りもなく続いていた時のことだった
ゆきがうちに転がり込んできたのは
「晩ご飯は僕が作るからさ、ね?
アパート修復するかもわかんないんだってー
だから泊めて?新しいとこ見つけたら出てくからさー」
何がだからなのかなぜ俺の家なのかはよくわからなかったが特に不自由することも無さそうなのでふたつ返事で了承をした
ただしゆきは朝が弱かった
めっぽう弱かった
確かに転がり込んできたあの日"晩ご飯は作る"と言ったが朝ご飯については触れていなかった
まぁだから必然的に朝ご飯は俺が作り続けた
するとゆきは俺の作る卵料理が気に入ったのか毎朝が卵料理になった
若いゆきはいいかもしれないが今年30になった俺は少し健康が気になるお年頃だ
そう伝えると晩ごはんは健康に気を使ったヘルシー料理が中心になった
そんなこんなでゆきは俺の生活にぴたりと溶け込んでいった
「センパーイ?おまたせー、顔洗ってきたよ
早く食べよ、冷めちゃう」
…待たせた君がそれを言うか
「はいはい、じゃあいただきます」
「いただきます」
「んー、やっぱ先輩の卵料理は最高だね」
エッグベネディクトを口いっぱいに詰め込みながら口癖になってきたそれを言う
「ゆきはいつもそれを言うね」
「ん?だってほんとのことだし
先輩ってほかの料理は"普通に美味しい"
なのに卵料理だけは"特別に美味しい"なんだよね」
「不思議だー」なんて言いながらもふんふんと美味しそうに食べてくれるゆきは失礼な奴だけど可愛い
「ほら、早く食べて
遅刻しても知らないよ」
「ていってもいつも先輩が車で乗せてってくれるじゃん」
「いやまぁ同じ所に務めてるのに置いてくのも可笑しな話だろう」
俺しか車を持っていないが同じ会社じゃそれで十分だ
「それもそうか、ごちそうさまでしたー」
「はい、お粗末さまでした」
自分の食器を台所まで持っていくと洗面台までぺたぺた歩きながら歯を磨きにいく
…なんとも存在感のある歩き方だ
ゆきが歩くと音が鳴る
ぺたぺたと幼稚園児の様な音
だから同じ家にいればゆきがどこを歩いているのかすぐわかる
会社では靴を履いているからわからない
俺だけが知っている音
それがなんだか心地よかった
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