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「ねぇ先輩」
「ん?」
「ここ行きたい」
ゆきが突然そう言い出したのは土曜日の夕方のことだった
「ここって、、、国立水族館?」
「そう」
テレビを指さしながら画面の中で優雅に泳ぐジンベイザメを見るゆきの目はキラキラしていた
「いいけど、それって明日かい?」
「だめなの?」
「え、いやまぁダメじゃないけど随分と急だね」
「だって明日暇だし、ベェくん見たいし」
べェくん?
あぁ、ジンベイザメの名前か
ジンベイザメだからべェくん
なんとも安直だ
「しょうがないね、わかったよ
明日はべェくんを見に行こう」
「やった、先輩優しいね」
「だって見たいんだろう?幸いゆきが言ったみたいに明日は暇だしやることも無いからね」
暇なのはいつものことだけと…
「じゃあさ、お弁当持ってこうよ」
「お弁当?」
「そう、ピクニックみたいに手作りお弁当もって向こうで食べよ、公園もあるし」
お弁当か…
毎日三食を共にしてるけど手作りお弁当は食べたこと無いなぁ
「いいよ、じゃあ下ごしらえだけもうしておこうか
誰かさんは朝が弱いし」
「ひどいなぁ先輩は
でも下ごしらえはさんせー」
早く作ろとぺたぺたと二人分のエプロンを取りに行く
ゆきが白で俺が濃紺
ご飯の役割を決めた時ゆきが買ってきたものだ
それまで俺は料理の時にエプロンなんてつけたことは無かったがゆきとお揃いというのが何だかいい気分がしたのを覚えている
「なに作る?」
「えーっと、食材はちょうど色々買ってきてあるし…割となんでも出来るんじゃないかい?」
「んー、まず先輩の卵焼きでしょ、先輩のオムレツ、先輩のキッシュ、先輩のハムエッグに、、、」
「まってくれ、ゆき
それでは俺が作るものばかりじゃないか」
しかも卵料理ばかりだし……
「えー、だって先輩の卵料理いっぱいのお弁当とかよくない?」
「いや、よくない
俺はゆきの作った料理も食べたいんだけどな?」
というか料理そのものはゆきの方が上手いじゃないか
「えー、じゃあ僕はー、タコさんウインナーとー、、、とー、とー、、、
……お弁当ってなに入れるっけ?」
…食べ慣れてないんだろうな
学校はずっと学食だったんだっけ
「普通はハンバーグとかグラタンとかミートボールとかスパゲッティとか唐揚げとかじゃないかい?」
「おぉ、たしかにーじゃあそうしよう」
「まってくれ、卵料理は少し減らそう」
「えー、いいじゃん」
「せめてふたつにしてくれ
お弁当に卵料理4種類は体に悪すぎる」
結局ぶーぶー言いながら卵焼きとハムエッグふたつに落ち着いた
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