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加藤千彰 No.3
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二人でもぐもぐと夕飯を咀嚼(そしゃく)していると、日向が口を開いた。
「あ……、千彰。佐藤先生って知ってる?」
「え?知らねえ。どこ担任?」
「去年の三年生の先生だよ。でも今年になって入院しちゃったんだって」
「へー、何で?」
「よく分かんないけど、糖尿病か何からしいよ?」
酒の飲み過ぎじゃねーか。
呆れる俺に、日向が話を続ける。
「それでね、今度新しい先生が来るんだってよ。まだどんな先生か分からないけど、男の先生らしいって」
「お前、よくそんなの知ったなー」
「一応、生徒会長だもん」
そうだったと笑うと、日向は失礼なと頰を膨れさせる。
その丸い頰を指で突くと、そこはほんのり赤く染まった。
ふと、日向が持っているサンドウィッチに目が移った。
「日向、この猫耳ちょっと解れて(ほつれて)ねーか?」
「え、ホント?」
日向がフードに目を向けた隙にパクリとかぶりつく。
遅れて日向の「あーっ!」という声が聞こえてきた。
「千彰!一口大きいよ!」
「悪い悪い、つかこのツナうまっ」
「もう……!」
怒っているけど、本気じゃないしすぐ許してくれる。
この猫耳が付いてる服だって、俺が「似合うから」と言って勝手に買ってきたもので。
それでも日向は少しも嫌がらずに俺の前で着てくれる。
こんなに良い恋人は、きっとこれからの人生で出会えないだろう。
男同士なんて、俺達の間ではどうでもいいことで、問題ですらなかった。
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