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御薬袋日向 No.21
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「日向!!」
「わっ!?」
突然大声で名前を呼ばれ、意識が戻ってくる。
「え……、何?」
「俺、何回も呼んでんだけど。日向、全然俺の方見ないから」
目の前には千彰が座っていて、こちらを怪訝な顔で見ている。
(……そうだ、僕、千彰の部屋に来てたんだ…)
一昨日も昨日も、毎日呼び出され、弘一に好きなように身体に触れられた日向は、体力的にも精神的にも疲れ果てていた。
「あ………、そ、そっか!ごめんね。僕、ちょっと寝不足でさ……」
「………………」
千彰の顔が見れない。
無理に笑うが、心の中は罪悪感で一杯だった。
今は千彰と過ごす時間なのに、弘一のことを考えてしまうなんてどうかしてる。
頭の中まで、弘一に支配されてしまっているようで怖かった。
────その時、いきなり千彰に押し倒されてしまった。
何事かと思って千彰の顔を見ると、少し悲しそうな瞳をしていた。
(どうして、そんな顔するの……?)
何か、気に触る事でも言ってしまっただろうか。
「ち、千彰?」
「日向……、俺に隠し事してんの?」
ドキン、と胸が鳴る。
まさか。
「ふぇ!?い、いや、そんなこと……!」
まさか、まさか。
必死に作り笑いをして、その場をしのごうするが、次の千彰の言葉で日向の希望は消え去った。
「じゃあ、その痕、何だよ?」
「……!!」
バレた。バレてしまった。
千彰に、見られた。
咄嗟に隠そうとしたが、もう後の祭りだ。
「こ……れ、は………」
「俺のじゃないよな?じゃあ、誰のだよ」
「え、えと……」
千彰の声が厳しい。
それだけで泣きそうになってくる。
怖い、怒られる、嫌われる。
そんな単語だけが日向の口から出てきそうで、千彰の問いに答えられない。
何を言っても、もう遅い気がして……。
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