アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
岩瀬さんはお局様
-
「高嶋くーん、今日空いてる?」
さっきから何回も同じやり取りをしている。
「ですから、今日は外に出て直帰ですので」
「つれないわね。お堅いのかしらー?」
白く細い指先が血色のいい厚めの唇を撫でる癖。
この癖は、本気(マジ)で狙ってる証拠だと中森は言っていた。
怖いよ、岩瀬さん改めお局様。
お局様とは、営業で言われているあだ名…のようなものだ。
気分を害せば…恐ろしいことが起きる、らしい。
「まぁまぁ岩瀬さん、高嶋は仕事熱心ですから」
「中森ー、それじゃ理由になんないのよ」
俺を助けに来てくれた中森には流し目。
マスカラで伸びた睫毛が、パチリと上下する。
「すみません岩瀬さん、今日は遅くなりますから。」
「えー、あっ!ちょっと青木さん、高嶋くんが付き合い悪いですー」
今から回る営業の準備なのか、通りすがった青木さん。
優しくて独身の青木さんにも色目は使われるようです…。
ストライクゾーン広すぎないか岩瀬さん。
「俺に言われても困るなぁ…あ、岩瀬さん、部長が呼んでたよ?」
穏やかな笑顔で、部長が呼んでいたことを告げる青木さん。
部長と岩瀬さんは…その、恋人…?と言っていいのかどうかってところだけど、企画の部長はまだ若いのに優秀な人で、ダンディというのがしっくりくる。
渋い大人、って感じで憧れるような人だ。
「えっ!じゃ、また今度ね高嶋くん!」
部長の名前を聞いたとたんこれだ。
声が数段高さを増している。
浮き立つようなステップであっという間に行ってしまった嵐のようなお局様。
部長に一筋にしてあげてください、と心から願う高嶋です。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 20