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3 僕の世界3
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「熱い…………。あついよぉおおお………。」
倒れた家具の下敷きになっているお兄ちゃんが叫ぶ。
お母さんはガラスが刺さり、血が出ている。
お父さんは炎を挟んでソファーと倒れた棚の間にいた。
「いたぃ…………。あつぃい…。」
そんなお兄ちゃんの声も焼ける音燃え移る音に掻き消され遠くにいるようだ。
「お母さん…………?
お父さん…………?お兄ちゃん…………?」
怖くて、熱くて、立ち尽くすしか出来なくて声だけを必死に振り絞る。
どうしたらいい?みんなは無事なの?どこにいるの?
「お母さん…………?
お父さん…………?
お兄ちゃん…………?」
「ねぇ。返事してよ。誰でもいいから。
お母さん…………?お父さん…………?お兄ちゃん…………?」
「…………_______。」
お母さんの声が聞こえた。
その時、お遠くにいるようなお兄ちゃんの声は聞こえなくなっていた。
「_______……。怪我はない?大丈夫???」
「お、お母さん。お母さん。っ...ぼ、っぼ僕は...何もないっ」
僕には怪我も、火傷も何もなかった。
炎や家具は僕を避けているみたいに燃え、倒れていく。
お母さんの顔の半分は赤い何かで汚れている。
ポタポタと落ちる何か。
「お...母さん...っ。っ。」
「_______。泣かないで。」
僕の涙が止まらない目をお母さんが優しく擦る。
それでも次々と溢れてお母さんの顔がぼやけてよく分からない。
「...大丈夫貴方は生きれるわ。
私たちは一緒に...っは、いられないけど_______なら……っ……。
例え何処でも…………」
ぼやけた視界でお母さんが横にズレていく。
やけにゆっくり。
ゆっくり
地面に倒れていくのが見えた。
赤い。赤い。炎が揺れる。
赤い。赤い。みずたまり。
「いや。いっ。いや。いやーーーっ!」
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