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22 ある伝説4
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深夜は背中に乗った僕の様子を伺う。
「姫。あなたはこの伝説の姫なのです。
この世界は魔力で優劣が決まる。
姫にこの世界を救っていただきたいのです。」
深夜が見ている景色が手を伝って見える。
目の前に広がる、王都。
森からの端に移動した深夜は僕を下ろした。
「姫。この腐った世界を助けてください。
姫。あなたには力があるのです。
救う力が。」
そう言いながら深夜は僕の頬にすりつく。
「深夜。...救うって、僕はなんの力も持っていないよ?」
「いいえ。大丈夫。姫は知らないだけで有りますよ。
大丈夫」
確信のある言い方…………。僕に何が出来るのだろうか。
足は動かないし、耳も、目も使い物にならない。
どうすればいいのだろうか?
深夜が離れた。
「え?何で?」
僕は手を伸ばす。気配は目の前にあるのに、手に触れない。
どうして??見えないし、聞こえないよ?
深夜が近づいてきた。
僕の額に深夜の額が当たり深夜は目をつぶった。
スーッと何かがなくなっていく。
待って。待って!
お願い!!!!待って!
無くなっていく。
これは…………記憶を消しているの??
「ぁ…………やめ……やめて。シンヤ…………シン…………や」
目の前にあるのに深夜の顔の毛をつかむ
離したくない。忘れたくない。
お願い待って。シンヤ
自分の手から力が抜けていく。
離したくないのに…………。
目の前に広がる大きな王都。
魔力で変わるこの世界。
自分ではなにも知らないこの場所。
この国をソーニョという。
シンヤから離れた手から伝わるものがなくなり、目の前も、頭のなかも、なにも写さなくなった。そして、また、静寂に包まれた。
『姫。さよならです。
我らとの記憶は人間との間で汚点でしかないだろう。人の心は醜い。それに利用される可能性がある…………だから我らの記憶を消します。
我らは絶対に、貴方とともにいることを誓って。
愛しい姫よ。また、会える日を願って…………』
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