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40 王都3
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無理なのはわかってる。でも、1人は怖い。怖くて、怖くてどうしようもない。
朦朧とする意識の中で伝わってくる。
「王都に行けばひとりじゃない。たくさんの人がいるし、王だって一緒にいる。もちろん、俺だっているよ。」
ラウさんも一緒にいてくれるの?
もう、1人になることはないの?
「明日。明日必ずここを出る。
そうしないと、ルカの体が持たない。
これから、王に連絡する。
もう、決まったことだから。異論は認めない。すまない。」
すまない。と申し訳ない。と
そして無力で自分に苛立っているのが手を伝ってきた。
ラウさんの手が離れていき何も伝わらなくなってから気配が僕から離れていくのがわかった。
桜が舞うように頭の中でいつか同じことがあったなっと一瞬ひらりと落ちていく記憶があった。
黒い、大きな何かが僕の手を離れて行く。
そんな花弁が落ちた。
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「ゲッホ……ゲッホ」
時間がない。そうラウさんは言った。
昼間はその事ないと思ってたけど夜中になって身にしみてわかった。
昼間とは比べ物にならないくらいの全身の痛さと怠さに身体を起こすこともできない。
ラウさんが先程、
『 もう、明日まで持たない。王に連絡する』と言って部屋を出ていったため今の状況を把握することが出来ない。
なぜ、王に連絡する必要があるのか
なぜ、王都に行けばいいのかとか
なぜ、ミナさんとメアちゃんの気配は扉の向こう側にいるのだろうとか
なぜ、こんなにも頭の中で知らない誰かが浮かぶのか
知りたいのに、動かない体はどうすることも出来ない。
誰か、助けて。
朦朧とする意識の中誰かが近づいてきた。
そして、優しく、それでもしっかりと僕を横抱きにして歩き出した。
ユラユラ揺れるけれど、何故か気持ちよくてまるでこの腕の中にいることを求めてたかのように揺れる何かに擦り寄った。
頬に風が当たる。冷たい。寒い。
それから守るかのように誰かが何かをかけてくれた。
安心する。呼吸をする度に鼻腔を擽る匂いを胸いっぱいに吸うと痛みが幾分か軽くなった気がした。
触れているのに何も伝わらない今の状況を悲しく思う。
意識が消えそうで保ってられなくて、それほどまでに弱っているのにこの人のことを知りたくて。
自分が今この状況なのがすごく悔しい。
『 やっと。やっと見つけた。姫。』
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