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50 姫への執着5
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「お、王様?」
なんて綺麗な人なんだろう。透き通るような金髪はベッドのカーテンから覗く陽の光を受けてキラキラと輝いて見える。
「『 あぁ。お前は今日からここに住むことになる』」
やはり僕の耳からも聞こえる低い声は久しぶりにしては何だか安心した。
『 王!そんな言葉遣いをしては!』
耳が治ったのかと思ったが、リアンさんの声は聞こえず今まで通り伝って聞こえる。
「『 何を今更気取る必要がある。こいつはもう、俺の妻なのだぞ』」
細長い王目がより細くなりリアンさんを見つめる。まるで威嚇する獣のような目だ。
『 …………ぶ、……無礼を申しました。』
リアンさんはその言葉に押し黙った。
王の言う通り僕に敬語なんて使う必要は無い。でも、妻とはなんのことだろうか。
「妻?」
「『 お前は、俺の妻だ』」
「でも、僕は男です。」
「『 それがどうした。』」
どうしたって、僕は男でしかも今日会ったばっかりの人を妻にするものなの?
あまり外のことを知らない僕は何が常識で何が非常識なのがわからない。でも、男と男は結婚はできないことぐらい知っている。
リアンさんが僕に一礼して部屋から出た。
考えているうちにいつの間にか気配が遠くに行っていた。
なぜ、王は僕を妻だとういのだろうか。
「え…っと…………。ぼ、僕は、」
「『 姫。そう言う運命なのだ。受け入れろ』」
顔に出ていたのだろうか
信じられないと。
王は僕の方に手を置き静かに続ける
「『 ここは、姫の部屋だが俺の部屋でもある。これからはずっと俺といることになる。わかったな。』」
姫ってなんだろう。
1人にならないことはすごく嬉しいのだが、姫っとは一体……
もしかして、僕は人違いされているのではないか。
僕は姫と呼ばれる人間ではないしましてや何度も言うが男だ。
「姫……?」
「『 ……待っていた。』」
先程と違って弱々しい声色だった。不意に肩から手を離されその手が背中に周り腰らへんでぎゅっと力を入れられた。
急に近くなった王との距離は大きな体に僕の体が埋もれてしまっていた。
そしてまた、待っていたと耳元で囁いた。
王の声だけ聞こえるこの耳は姫という存在となにか関係があるのだろうか。
腕の中は安心する。何故こんなにも初対面でこんなことを思ってしまうかはわからないけれど、身を預け目を瞑ってしまうほどに王に安心している自分がいる。
「『 ……待って……いたんだ』」
悲痛な声。そんなに待ち焦がれている姫は今どこにいるのだろう。こんなにも待ってくれている人がいるのになぜ現れてあげないのだろう。
そっと僕では姫の代わりなんて出来ないけれど一瞬でもいいから安心して欲しくて王の大きな背中に腕を回した
肩を1回揺らしたあとまた僕をきつく抱きしめた。
姫……か。
どんな方なのだろう。こんなにも思われる人は羨ましい。僕は生まれてからずっと嫌われて生きてきたから。思ってくれていたラウさん一家とはもう会えないだろうから
ここではひとり。
王に姫ではないと言わなければいけない。
でも、でも、ちょっとだけ。愛されてみたい。思われてみたい。
姫に代わりだけども、愛を知りたい
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