アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
58 独りは怖いから3
-
そばで寝ている王様の手がまわっている腰が想像以上の重みでベッドに座っているのが限界で僕もまたベッドに寝転んだ。
すると王様が身じろぎして僕の背中と頭に腕がまわった。
顔に硬い物が当たりファっととてもいい匂いがした。
(……ぁれ?この匂いどこかで…………)
この安心する匂いは……
あの時……………………………………。
苦しくて、痛くて死ぬんじゃないかと思った時に、におった匂いだ。
王様だったんだ。
あの時ラウさんの家に迎えに来てくれたのは。
目をつぶりその匂いを強く嗅ごうと硬く頭の当たった場所に顔を埋める。
ラウさんにメアちゃんに、ミナさんに抱きしめられた記憶しかなく王様の腕の中もすごく安心する。
なんでこんなにも人の腕の中は安心するんだろう。
特にこの人は。
「………………ぅん」
安心して勝手に上がる頬を抑えることが出来ない。
匂いを嗅いでいると、王様の体温が心地よく安心したのも合間ってまた勝手に口が動く。
「。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°」
いつの間にかキラキラと周りが輝きはじめ、空気が澄はじめ精霊たちがざわめき出す。
先程まで心地いい歌声にひかれこの部屋に入り目を詰むって音を聞いていた。
それが、さっきまではなかった気配が歌が変わることで急激に存在感を出した。
『あれぇ、この感覚!
数千年ぶりの感覚だァ』
『あの子の歌から出る魔力だよー。』
『この歌って……』
はるか昔の友達だった人が悲しんだ末に与えられた力だった。
癒しの歌。
そっくりとは言えない。ただ、内容と、思いが同じなのだ。
あなたが~~~
と相手を思った歌。
それは嘗ての友人の癖のようなものだった。
あなたが、彼が、みんながと自分を差し引い願いばかり……これは確かに……。
『『『姫だァ』』』
『みんなにぃ知らせなくちゃ。』
小さな人型をした者達が慌てて消えた。
精霊たちが消えると次々と翼を持った人型をしたものが現れた。
« ……こ、これは»
« もしかして、いえ。もしかしなくてもこれは❛姫❜ですね。»
« では、早急にあの方に伝えなければ»
そう言って翼を持つ者達も消えていった。
2人の寄り添う甘さはまるで長いこと一緒にいた夫婦のようだった。
騒ぐ精霊たち、天使達を他所にルカはただ、王の安心を願って歌い続ける。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 60