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「弓弦、ありがとう」
「うん!……あ」
弓弦にニコッと微笑みかけると、弓弦も俺の方を向きニコッとしてくれた。そして何かを視界にとらえたようで、俺もそちらを振り返った。
「クラゲ」
そこにいた人物に、その光景に、俺は頭がついていけなかった。
「弓弦くん!久しぶりね!」
そこにいたのは……亮と、知らない女の人。
2人は腕を組んで立っていた。
え……誰……
なに、これ……。
もしかして、彼女……?
「あなたも亮ちゃんのお友達ー?」
状況についていけなくて頭の中がぐわんぐわんと回していると、その女の人はニコニコと話しかけてきた。
「朝香、やめろ」
「なんでよー!お友達なんでしょ?あたしも仲良くしたいんだけどぉ!」
俺に話しかけてきた朝香さんという人を、なぜか亮が止めさせた。
朝香、だって……下の名前で呼んでた。
その時亮とバチッと目があってしまい思わず逸らす。
どうしよう……
なんか胸が痛い……
なにこれ……
なにこれ…………
気づいた時には走り出してしまっていた。いや、正確には逃げ出してしまっていた。
弓弦の「みーちゃん?!」という声と亮の「クラゲ!」と呼ぶ声がしたけど、振り返らなかった。振り返れなかった。
あんなの、見たくない!
朝香さんという人は、綺麗な人だった。
一目で美人だとわかる程、とても美しい人だった。
浴衣からのぞく白い肌も、黒くて長く結った髪の毛も、とても妖麗で色気に溢れていた。
こんな綺麗な人が亮の彼女なのだと思うと、ひどく胸が痛くなった。
ふたりを見てお似合いだって思ってしまった。
なんでそれで胸が痛くなったのかも、逃げだしたくなったのかもわからない。
わからないけどものすごく胸が痛くて、俺はただただ逃げることしか出来なかった。
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