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02(時雨side)
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クラスの出し物の片付けが終わる頃には、すっかり夜になってしまった。この後後夜祭があり、花火が打ち上げられる。
海月に一緒に見ようと誘ったのに、海月はどこかへ行ってしまい、他に一緒に見たい相手もいないし帰ることにした。
歩いてると、いつも頬を伝う風がなんだか冷たくなって、秋を感じた。
しばらくすると、道端で誰かが倒れているのが見えた。
海月だった。
傷だらけで、ボロボロで苦しそうにしていた。
頬に手を触れると冷たく、指先が少し濡れたことから泣いたのだとわかった。
うっすらと目を開けた海月は、誰かの名前を呼んだ。
「りょ、う…?」
すぐに西山亮の事だとわかった。
彼はずっと不登校で、転校して来たばかりの俺はまだ会ったことがない。
弓弦と海月がよく彼のことを話しているのを聞いていたし、相当関係の深い人物なのだろうとは思っていた。
話を聞く限り、ずっと会えてない様子だったし、無意識で名前を呼ぶ程会いたいのだろう……
嫉妬というものだろうか。ふつふつと何か自分の中に沸き上がってくる感情があった。
とりあえず、気を失ってしまった海月をおぶって自分の家に連れていくことにした。
俺の肩の上ですうすうと寝息をたてて眠る海月を、可愛いと思った。
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