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07 (時雨side)
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「時雨...」
数分後、海月が部屋から戻ってきた。
ドアの外で、海月は弱々しく立っていた。
目元が赤くなっていて、たくさん泣いたのがわかる。
「海月...ごめんなさい...。本当にごめんなさい。」
俺は海月の傍に寄り、すぐに床に手をつき頭を下げた。
許される訳が無いと思った。きっと海月は俺の事を軽蔑するだろう。もう友達でいてくれないだろう。
大切にしなきゃと思ってたのに。大切にしてきたはずなのに。
床に貼り付けた手がかすかに震えだす。
すると海月は俺の前にしゃがみこみ、顔を上げるよう言った。
顔を上げると海月は儚く微笑んだ。
「怒ってないよ」
海月は俺と目線を合わせて優しくそう言った。
こんな時にも関わらず、吸い込まれるようなその漆黒の瞳に、俺は思わず見入ってしまう。
綺麗だ。
欲望も感情もなく、塞ぎ込んだ目。
その時俺は気づいてしまった。
海月は俺が大切にする以前に、どうしようもない程に壊れてしまっていたんだと。
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