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弓弦side
「てっきり朝香ちゃんが出てくると思ってた」
「悪かったな、俺で」
久しぶりに会った亮は、酷く変わり果てていた。
全体的にやつれ、痩せ細っていた。髪は伸びっぱなしのまま、目は虚ろ、とても以前までの美しい容姿ではなかった。
亮に連れられ部屋の中に入ると、吐き気がするほどの甘い香りとそれに混ざる生臭い匂いがした。
寝室をちらっと見ると、ゴミ箱がたくさん使用済みのコンドームで溢れていた。
そしてこの甘い香りは朝香ちゃんの香水の香りだとすぐわかった。
「ごめんね。急に押し掛けて。」
「ああ」
ソファに腰掛けると、亮は横の椅子に腰掛けた。
「今日、朝香ちゃんは?」
「出掛けてる」
「そっか...」
亮は俺の質問に一言返すだけだった。無理もない。
それにしても朝香ちゃんがちょうどいなくてラッキーだった。
久しぶりに会ったのに亮は何を聞くでもなく、ただただ黙っていた。喋る事が辛そうにも見えた。
しばらく沈黙が続いたあと、俺は話を切り出した。
「亮、あのさ、単刀直入に言うけど、朝香ちゃんに脅されてるんでしょ」
「......」
「あの事、まだ引き摺ってるんだろ?」
「......」
「亮、俺、亮の力になりたいよ。あの時は何も出来なかったけど、今なら俺...」
「うるせぇな」
亮のその一言で一気に静まり返る。
伸びた髪から、表情が読み取れなくて、亮のホントの気持ちがわからない。
「亮...、ここから抜け出そうよ」
「...無理に決まってんだろ」
「無理じゃない...信じてくれないかな...俺の事」
「なんだよ...そんなくだらねぇこと言いに来たんなら帰れ」
「お願い。亮。このままじゃみーちゃんも危ないんだ。お願い。」
「...、あいつも危ないってどういうことだよ...」
亮は顔を背けイライラした口調で話す。
「朝香ちゃんが...復讐のためか、みーちゃんに酷いことをしてるんだ...みーちゃんは何も悪くないのに!そうだよね?ねぇ...亮が1番わかってるんじゃないの??」
「.........」
俺は亮の前に寄ると、その冷たい両手を握った。
亮は黙ったまま俯く。
それから顔を背けたまま「行くぞ」と一言言った。
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