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帰ってこない……。part3
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「かんなちゃん…?」
「……」
「……よしよし」
俺は今、凄くカッコ悪いだろう
図体だけデカくなったただの子供だ…。
昔から泣き虫なのは変わらない。
急に抱きしめたのに、なおは俺を押し返す事もなく優しく頭を撫でてくれた。もう出てしまったものは仕方ない、止めたくても自分の意思では涙は止まらなくて…そんな俺になおは焦らなくてもいいと言うように背中をトントンと叩いてくれる。
しばらくしてから俺はなおから離れた。
さっきまであった温もりが無くなって
また心の奥が痛くなる
「こーら!そんな顔しないの!
俺はここにいるでしょ?」
「…うん」
「なんか、かんなちゃんが泣くって変な感覚〜!いつも頼れるお兄ちゃん!って感じなのに!」
「俺はガラスのハートなの」
「ちょwwwwそれ真顔でよく言えるねwww
その様子ならもう大丈夫だね!!」
俺の頭を3回軽く叩いてなおはベンチに座る。
落ち着いたといってもやっぱり心配でたまらない。こうしてる間に杏奈にもしものことが起こっていたらどうしよう。
「かんなちゃんは、あんなちゃんが大好きなんだね」
「好きとかそんなんじゃなくて…
ずっと一緒にいたら、居なくなると……」
「あんなちゃんは幸せ者だね。きっと大丈夫、明日になっても連絡が無かったら警察に行こう?もしかしたら誰かの家にいるかもよ?」
「杏奈には、なお以外に友達いない」
「…あぅ…ほら!ヨッシーとかは?!」
「ヨッシーのとこにいるなら
よっしーは俺に絶対連絡を入れる。」
「うぅぅ…ん…」
きっとなおは、俺を安心させたいんだろうな…。
なおのいう通り明日になっても連絡が無かったら警察に行こう…。きっと大丈夫だ…。
「俺も知り合いに色々聞いてみるよ」
「体とか…売るなよ」
「そーゆーことで俺は体を売りません!!!
かんなちゃんは俺をなんだと思ってるの!?」
「ビッチ…」
「なっ?!!このやろーー!!!」
俺の頭をグリグリしてくるが全然痛くない。
なんだかこの感じ…落ち着くな…。
「なお…」
「ん??痛かった?」
「いや、全然……。」
「よし、歯を食いしばれーー」
殴ろうとしているなおをなだめる。
こうやってなおは、いつものペースに戻してくれる。
「なおは、家で…ひとり?」
「…え?なんで?」
「俺のわがまま聞いてくれるなら…今日…」
「いいよ」
俺が言葉を言い終わる前になおが返事をする
「俺、まだ何も言ってないんだけど」
「顔に書いてあるwwwでも俺の服はかんなちゃんには入らないと思うから泊まるなら一旦服取りに行こ?」
「俺ってそんなに分かりやすい?」
「もし、俺がかんなちゃんだったら
きっと同じ事思ってたと思うから……。
俺達ってなんだかんだで似てるんじゃない?w」
「嬉しくない……」
「おー?さっきまで泣いてたやつが
何言ってるんだーーー?んんんん?」
そこを突かれると何も言い返せない。
本当は家に帰って杏奈の帰りを待った方がいいんだろうけど、もし帰って来なかったら?
そんなの俺1人じゃ耐えられない…。
それに、こんな状況で杏奈の居ない部屋で寝るとか俺は出来ない。子供かって自分でも思うけどやっぱり無理だ。
俺はなおのいう通り、一旦家に服を取りに帰る事にした。ばあちゃんには杏奈が服を取りに帰るのが面倒いから俺が持って行くついでに俺も泊まると話した。そして家を出ようとした時にふと思い出して、俺はリビングに戻ってソファーの上にある杏奈の携帯を手に取りポケットにしまった。
もし誰かの家にいるとしたら
多分杏奈は俺の電話番号を知らないから自分の
携帯にかけるはず……。
今日は寝ずに杏奈の携帯の着信があるのを待とう。
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