アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
61
-
いつもなおが1人で話してるから話を聞くのは慣れている。だから俺は暇つぶしにこの男の悩みや過去を聞くことにした。
「俺の家ってね、代々医療系の家系でさ…
兄弟達も皆、その血を引き継いでてバカみたいに勉強してずっと学年トップとかだったんだよね」
「兄弟って?」
「兄貴2人と姉貴!4人兄弟なんだ!」
「へー、皆学年トップとか凄いね」
まぁ俺も一応勉強できる方だから、なんで出来ないのか分かんないけど…それは今言うことじゃないし黙っておこう。
「皆すごいけど、俺はどんなに頑張っても
トップにはなれなくて…部活してるからだって
親には怒られて、兄弟達には呆れられてさ」
「…うん」
「でも俺は部活がしたくて、それに医者になるとか、レールの敷かれた人生が嫌だったんだ。俺には教師になりたいって夢があって、それでも家族に反対されて結局それに押されて看護師になったんだけど…、教師の夢が諦めれなくてさ」
すごいな…、レールが敷かれたらその道を歩けば楽に生きれるのに。自分の道をこの人は持ってるんだな…なんかそーゆー人すごいと思う。
話を進めていく内に、先生の顔はどんどん真剣になっていく。
「今も、教師してるって家族には言ってないんだ。言わなきゃと思ってるんだけど…」
「ふーん」
「俺弱いよね。自分のやりたいことを大きく掲げて、でも親が怖いから、家族が怖いからって結局逃げて…、こんなの子供と同じだ…。」
「それでも、あんたは今教師してるじゃん」
「え?」
「俺は保健室の先生のあんたしか知らないけど
看護科の教員としてちゃんと頑張ってるんだろ」
別にこいつの為とかじゃないけど
こーゆー時、思ったことをすぐ口に出してしまう。本当のこいつを知ってるわけじゃないけど
こいつは自分の人生に抗って生きてるんだ。
「書斎見たけど、あんたすごい勉強してんじゃん。結果も大事かもしんないけど1番大事なのって頑張るって意欲なんじゃないかな」
「望月くん…」
「俺からしたら、ロボットみたいに言われた事をやってる兄弟達より自分のやりたい事に打ち込んだりそれに向かって努力してるあんたの方がよっぽど凄いと思うけど」
他人の事を考えるのは好きじゃないけど人のいいなりになってる奴らも腹立つ。
出会って日も浅いけど、最初は俺の嫌いなタイプだと思ってたのに仕草を見たり、喋り方や雰囲気それに話を聞いたらこいつがどれだけ努力をする奴なのかも嫌でも分かってくる。
「そりゃ、兄弟達もすごいと思うよ。言われたからって出来るわけじゃない、それ相応の努力をしたんだと思う。でも、だからって俺はあんたがその人達より劣っているとも思わない」
「俺が…?」
「俺は出来ない、何をやってもだめなんだ。
ってそれはあんたの考えだろ。皆そんな考えなわけじゃないし、もし本当にそう思ってるなら追いつこうなんて思わないし頑張れないよ。あんたは努力してんじゃん」
「でも俺は、本当に出来なくて……
余裕はないし、気は効かないし…相手をイライラさせちゃうし」
「それは否定しない」
「ええぇぇぇえ………?!」
初めて会った時からそうだ、変なところは気が効くのにいざって時に見落とす。
どんなに頑張ってもミスをしちゃうタイプだ。
でもだからってこいつは諦めたりする奴じゃない。
「俺、あんたのことが嫌いだった」
「え、あぁ…う、うん…そうだよね…」
「まさか、襲われると思ってなかった」
「ゔっ……」
「でも、あんたのこと前より嫌いじゃない」
「…え」
冗談なんかじゃない、ってかこんな事
冗談で言うやつとかクズだろ。
生徒に手を出すやつとか最低だし、こいつウザいし本当はもっと嫌いになるはずなんだ。
でもこいつの違う顔を目にした時、恐怖とか嫌悪感とかはなくてもっとこいつを知りたいと
好奇心でいっぱいだった。
「俺、変わってるんだと思う」
「ぁ…うん、それは思う」
その返答にムカついたので睨み付けるとバカは
あからさまにビクッとして背筋を伸ばす。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
61 / 107