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杏奈視点
「ただいま」
「おかえり杏奈、楽しかった?」
「え、、、あー、うん」
ばあちゃんからの返答に困った俺はなんとなくで話を合わせる。
おそらく神奈が心配させないように俺はなおの家に泊まっているとでも言ったんだろう。
「杏奈も神奈も、なおくん大好きね〜」
「神奈も?」
「昨日2人で泊まりに行ったじゃない」
「あーそうだね。ばあちゃん神奈は?」
帰ってきてからずっと部屋にいると聞いて俺は部屋に行くことにした。
ってか神奈、なおの家に泊まったの?
俺の事心配しといて自分はなおの家に泊まるってなんなのさ。意味分かんない。
少し不機嫌になりかけたが、昨日の事は今まで
無かったから神奈も神奈で考えてなおのところに行ったんだろう。そう思って俺は少し落ち着いて階段を上がる。
部屋に着きドアを開けると神奈は勉強をしていた。
「ただいま」
「おかえり」
それだけかよ。あんだけ怒鳴ったくせに
怒ってないとはいえ心配してたなら少しは
なんか言えよ。
でも、今回の事は俺が悪……いや、あいつが
悪いんだけど。神奈は悪くない。
ここは俺が引くしかないか…
「えっと、ごめん」
「何が」
「…心配かけた…です」
「心配どころじゃなかったですけど」
「…はい」
襲われてました、とか言えないしな…
とりあえず俺は悪くないのに、なんで俺が責められなきゃいけないのさ。
神奈はまた無言で勉強を始めた。
俺はそれを見てとりあえず自分のベットに座る。
「…」
「…」
まぁ、無言はいつもの事なんだけど
なんか今日は恐ろしく気まづい。
ゲームをしようにも俺の携帯は神奈が持ってるしな…。
「なんで昨日連絡くれなかったの」
「…え」
「なんで、連絡、くれなかったの」
「え、あー、えっと…」
なんでって言われても…
あれって神奈には言ってもいいのかな?
いや神奈なら警察に行きかねない…。
それよりなにをしでかすか分からない
せっかく面白くなってきたのに
それに、警察なんかに行かれたらあいつの
人生が終わる…。別にどうでもいいけど…。
「寝てた…から」
「寝る前に連絡できたでしょ。
なんで人の家に行ってすぐ寝るの」
「そんなの…俺の勝手じゃん」
「どれだけ心配したか分かってんの?」
あー、どうしよなんかイライラしてきた。
怒るなら怒ればいいじゃん、なんで遠回しに質問してくんだよ…
イライラしてしまったらもう止められない。
「…神奈だって、そうだったじゃん」
「……っ」
「神奈だって帰ってこなかったじゃん!あの時俺だってたくさん心配してたのに……なんで俺だけこんなに言われなきゃいけないんだよ!あの時、俺はなんも言わなかったじゃんか!!!」
こんな事言ってもどうにもならないのに
昔の話を掘り下げてしまうあたり、俺はまだ
子供なんだなと自覚する。
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