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ガラガラ…
「失礼します」
「はーい、いらっしゃい
どうした?怪我でもした?」
あれ、保健室の先生が違う
去年俺は色々あってよく怪我をしてたから
保健室によくお世話になってた。
だから先生の顔覚えてたんだけど、この人初めて見る顔だ。名札には『山本 優章(やまもとまさあき)』って書いてある。看護科教員って書いてあるけど、看護師なのか?
「えっと、怪我じゃなくて
双子の兄がここにいるって聞いて
迎えに来たんですけど…いますか?」
「ふ、双子…?何年生?」
めちゃくちゃ上から下まで見られた。
あ、俺と杏奈って似てないから双子って言っても分かんないか。
「2年です。ってか望月です」
「……ぇ?ええぇぇぇぇぇぇ?!?!
ふ、ふふ、双子?!望月くんの?!」
騒がしい人だな。
そんなに俺達って似てないか?
それより、杏奈は………
見渡せばベットの上で豪快に寝転んでいる
杏奈の姿があった。
「何やってんの」
「ゴロゴロしてる」
「帰るよ」
「……痛くて歩くのしんどい…休憩」
そんなに杏奈の怪我は悪いのか?
歩けないってまさか骨折とかしてないよな
昔からよく怪我してたし、クラスが違うと
こーゆー時とても不便だ。
「おんぶしようか?」
「もう、そーゆーの今日はいい」
「そーゆーの?」
よく分からない事を言う杏奈と
帰る帰らないで言い合いをしていたら
山本先生?に声をかけられた
「えっと、弟くん!実はお兄さんの足の件なんだけど結構酷いみたいで、相当腫れてるんだよね。骨には異常はないと思うけど念のため病院に連れて行ってもらえないかな?どんなに説得しても薬局でいいの一点張りで…」
「あんたのせいだろ」
「え、杏奈の怪我って先生がやったの?」
「ちょ?!?!え、あ、ええぇぇぇぇ?!
や、や、や、やっぱりそうなの?やっぱり俺のせい?!そうだよね…俺がひどくさせたんだよね…俺、保健室の先生に向いてないよね…気も使えないしもはや看護師にも向いてない…。」
「めんどくさ」
あ、この人杏奈の嫌いなタイプだな
杏奈はいつもストレートに言うからそれを
いちいち真に受けてウジウジする人が嫌い。
でも俺はそーゆータイプの扱いは慣れてる
「山本先生、大丈夫ですよ。
杏奈は多分怪我したうえに自分を歩かせたから
それの当てつけで、自分に起こった不幸を全部先生のせいにして先生を責めてるだけだと思います」
「へ…?」
「だから、自分を責めないで下さい
杏奈は気分屋だから次の日には忘れてますよ」
あ、いつものくせで先生の頭撫でちゃった。
目上でしかも先生にやってしまった。
「ぁ、すみませ(((」
「…う、うあぁぁぁぁん!!!弟くん!!
大好き!!俺なんかに優しくしてくれるなんて!!弟くんが女神に見えるよ!!!」
…この人は、バカなんだろうか。
生徒に頭撫でられて怒らないのか?
ま、怒らなかったなら結果的にいいんだけど
俺なんかに優しくしてくれてってこの人一体…
それよりさっきから杏奈が不機嫌なんだけど
どうしたんだろう、ばあちゃんとじいちゃんに迎えに来てもらうわけにも行かないしな…
「あの、弟くん。お兄さんも歩けないって言ってるんだけど、親御さんに連絡したら迎えに来てもらえるかな?」
「ぁ…えっと父さんと母さん
共働きで俺達祖父と祖母の家に住んでるんです。だから、多分迎えは…」
「……ぇ、あぁ、ごめん!!
なんか悪い事聞いちゃった…?」
微妙な空気が流れ、どうしようか
考えていたらそれを打ち破ったのは杏奈だった
「どうでもいいけどさ、先生が送ってよ」
「杏奈、先生に向かって(((」
「そうか!!!!!!!その手があった!!」
「「え…」」
「車、近くに持ってくるね!!!
ちょっと待ってて!!」
そうと決めたらする人なのか
すぐに保健室を出て行った。
普通、生徒にこんな事言われて怒るだろ。
あの人は心が広いんだな。
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