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俺はあのなおの顔が引っ掛かったまま
歩き続けた。
そして、なおの家の前までついた
いつ見ても立派な家だ。それでいて真っ暗
きっと今日も誰もいないんだろう。
なおがどんな気持ちなのか考えると
胸が締め付けられるくらい苦しい。
俺は小さい頃から両親が共働きで
家族全員が揃う日はなかなかなくて親がいない苦しみは分かる。でも俺には杏奈がいた。だから寂しいとは思わなかったし辛くなかった。
でも、なおには誰もいない。兄弟も居なければ祖父も祖母も会ったことがないらしい。
「かんなちゃん!送ってくれてありがとう!」
「なお」
「ん?どうし…((ギュッ…」
思わず抱きしめてしまった。
だってあまりにもなおの背中が
可哀想だったから…。
1人にさせたくない、でも俺には何もできない
「か、かんなちゃん?」
「俺、無責任な事を言うのは嫌いだ」
「…え?」
「でも、なおを寂しくさせたくない」
「…!」
俺に何ができると聞かれれば何もできない。
ただのお節介なのは分かってる、それでも俺は友達が困ってるなら助けてやりたい。
俺に何かが出来るならしたい。
それで誰かとの体の関係が無くなるのなら
俺はなんだってする。
「俺、何もできないけどなおが何かを望んでるなら俺に出来る事ならなんでもする。愚痴だってなんだって聞いてやりたい。」
「か、かんなちゃん…」
「なおは、1人じゃない」
「!」
きっと、なおからしたら俺はただの友達で
ただの世話焼きのめんどくさい奴なんだろう。
なおに嫌われるのは嫌だ。
だからって今のなおをほっとけるかと聞かれれば絶対できない。
俺はあの時なおと出会って救われた気がしたんだ。それと同時になおを助けたいと思ったんだ。
「…ありがとう、かんなちゃん。
ほら!もうこんな時間だよ!あんなちゃん
待ってるよ!帰らなきゃ!送ってくれてありがとね!じゃあこれからたくさん愚痴るかもしれないけど覚悟しといてよねー?それじゃ!」
「ぇ…あぁ、おやすみ。」
「おやすみなさーい!」
きっとなおの事だ、今まで通りと変わらない。
そして俺も今まで通りと変わらず、何もしてあげられない…。
なおが家に入っていくのを見て俺も家に帰るために歩き始める。
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