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13.月明かり―9
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ピピピピピ……
無情のキッチンタイマーの、終了のゴングが鳴り響く…
「ハイ、終了!」
審判員である母さんの声とともにホールドされていた腕から開放された。
「ハァ…ハァ…ハァ…………。」
息が上がっている俺に対して、呼吸ひとつ乱れない兄貴に無性に腹が立つ…
「璃空くん、これで門限は確定で!」
「えっ!い、嫌々ちょっと待って!」
「なぁに、勝負ついたけど?」
「体勢がよくなかったんだよ!それに体格差も有りすぎるし、1分って時間も短すぎるよ。せめて3分あれば振りほどけたのに!」
なんとか時間だけでも遅くして貰いたくて、それに体格差は本当だ!兄貴は185㎝あるのに俺は…
「161㎝の璃空にとっては誰でも体格差もあるから理由にならない。それじゃ誰でも振りほどけないって事だろ。」
「162㎝だよ!こないだ測ったら伸びてた!」
「良かったじゃないか!このまま伸び続けて170㎝越えたら門限無しにしてやるよ。」
「……ぐっ!」
「それなら俺も安心できるしね。」
「170㎝……」
夢のような数字…実際俺は成長が止まっているらしく、162㎝も実際はちょこっと背伸びをしてしまったのだ…
(俺は一生門限付きかもしれない…)
社会人になっても8時の門限は恥ずかし過ぎる…
残業を命じられても『門限8時なんで…』ってあり得ねぇ…
急にポンポンと頭を撫でられた。
「まぁ、高校生のうちは我慢しろってこと!」
「……せめてもう少し門限を遅くして…」
「大学生になったら9時にしてやるよ。」
「えっ?大学生で9時!!」
「社会人になったら10時だぞ!」
「………」
(社会人になってもやっぱり門限付きかよ…)
納得なんかできない。でも、親父が死んだ後も母さんと俺を一生懸命に守ってきた兄貴に逆らう事なんてもっと出来なかった。
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