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決心
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俺のメリットになる情報って……?
全く思いつかないんだけど。
ニヤ、と今度は奏が口を開く。
「そう、情報。この計画を立てるためにいろいろ調べてた時にたまたま見つけた情報。」
「黒川の部屋に有栖創立者、つまりお前の父親の日記が保管されているらしいんだよね。」
「父さんの日記……!?」
確かにそれは気になる情報だ…
未だに父さんがこんな人殺し組織作ったってことを信じきれてない。何かの間違いなんじゃないか。俺の記憶通りの優しくて面白い俺の大好きな父さんであるはずだ、と。
でもそう思う反面やっぱり本当に父さんが作ったのかもという、気持ちもある。
でも、もし本当に父さんの日記が保管されているなら……
「……でも、ゆっくり考えてくれていいですからね。すぐには気持ちの整理もつかないでしょう?」
「あれ、また敬語に戻ってるよ葵?」
「……僕は凛と違って敬語の方が慣れてるんですよ…」
「あぁー!!葵が俺の事馬鹿にしたー!!」
……こいつらは一体何回脱線してわちゃわちゃすれば気が済むのか。
確かに葵くんの言う通り今すぐ決めなくても良いことではあると思う。
3番隊も今すぐ、一刻も早く復讐をって感じじゃないし。多分入念な準備と確実に成功する確信がなければこいつらは行動を起こさないだろう。
それは葵くんだろうと凛くんだろうと明璃くんだろうと。
だって忘れそうになるがここは暗殺部隊だ。しかも全員が規格外の実力を持つ最強の部隊。そんな暗殺者がなんの計画性もなく殺しなんてするはずがない。
でも、俺は今すぐ返事をしておきたいと思った。
わざわざ考えるまでもない。凛くん達のように自分の思うがままにすることも時には大切だと思うから。
「……話がズレてごめんな?で、月影藍。どうするよ」
今度は明璃くんが聞いてくる。
その後ろで陸くんがオロオロしてるのが見える。
多分そんな早く聞いても答えられないよっ……みたいな感じだと思う。
何となく分かってきたぞ……
俺は1度大きく深呼吸して明璃くんの目をしっかり見つめ返して答えた。
「うん……俺もその計画に参加するよ。いや、したいんだ、参加させてくれ。」
これは巻き込まれたんじゃない。
断れなかったからじゃない。
これは俺が事実を知るための唯一の方法だ。
そのためならこの手が朱に染まろうと身体中に血が飛び散ろうが関係ない。
だって犠牲無くして障害は乗りこえられないから。
自己犠牲なんて阿呆のすることだ。
人を犠牲にしろ、自らが高みに上がるために。
「……もう一度聞くよ。もし本当に参加するならあそびじゃないんだ。人を殺したり、もしかしたら自分も死ぬかも知れない。そこをちゃんと理解してる?…これは遊びじゃないんだよ。」
もう一度今度はさっきのふざけた感じとは180度違う表情で明璃くんが尋ねる。
「…もう覚悟は出来てるし、これからまだ足りてない部分の覚悟もしていくさ。これは俺の未来に絶対必要なことなんだ。」
こんな未熟な奴には無理だと馬鹿にされるかも知れない。
でも、俺はここに来てから何度もみた。
何度、どのような形で傷つけられようが絶対に自分を見失わない仲間思いのリーダーよ姿を俺は見てしまったんだ。
年下のあいつに出来てこの俺に出来ないはずがない。
だってそうだろ?あんなに小さな背中で背負ってるもんを返して貰うだけなんだから。
「お前ならそう言うと思ってたぜ月影藍!!さすが俺の見込んだ男だ!!」
「やるからには貫き通せよ…途中でへばってちゃ足でまといだからな。」
「……………………ツンデレ…………」
「…殺すぞ阿呆怜弥」
ここで踏ん張らないと俺に生きる価値はない。
今、知らないと俺は一生真実を知らずに生きていくことになるだろう。今まで通り、仮面を被ったまま。
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