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《番外編》lovin' you⑦
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海堂side
***
ーー女神を見たと思った。
開いた扉の奥に見えるのは、父さんとその横に並ぶ俺の愛しい奥さん。
純白の衣装に包まれたその姿は、何処と無く儚げで、俺はしばらくの間、完全に目を奪われた。
純白のウエディングドレスに身を包んだ彼は、
一歩、一歩と俺の方へ歩んでくる。
俺の前にたどり着いた彼はベール越しに見てもすごく綺麗で声に出してしまう。
こんな余裕がないのは久しぶりだな。
誓いの言葉を宣言した時、
俺はやっと紫音を手に入れた。
やっと俺だけの紫音になった。
と、心にひどい安心感を覚えた。
式を挙げようと言った時、
式は挙げなくてもいいから俺のものだという事実が欲しいと言った彼。
そんなのこっちのセリフだ。
紫音といる理由が、
紫音は俺のものだという証拠が欲しくて、
婚約指輪やアンクレットをプレゼントし、
番という関係で縛り付けた。
プロポーズしてすぐに結婚式の日を紫音の20歳の誕生日にしようと決め、俺が昔に綺麗なところだと気に入って通っていた、静かな場所にある教会を予約した。
両親にはすぐに話した。
母さんは幸せになって欲しいと喜び、すぐに了承してくれたが、Ωとの結婚は…、と渋る父さんを説得するために何度も実家へ足を運んだ。
男同士の結婚で、あまり盛大な式を挙げることはできないな…と、少し紫音に申し訳ない気持ちにはなったが、
俺の両親、紫音の親友、要を始めとする『Rouge』のキャスト達に招待状を送り、紫音には内緒にしてくれと一言添えた。
ーー「式、誕生日に挙げていいか?」
あんな余裕をかまして言ってはみたものの、
ここまで準備して断られたら俺は一生立ち直れなかったんじゃないかというくらい本当は緊張していた。
紫音は喜んでOKしてくれて、あとは紫音の当日の衣装を決めるだけになった。
もちろん紫音にはウエディングドレスを着て欲しい。
まぁあいつは駄々こねて嫌がるだろうな、と思ったが、母さんが上手に誘導してくれて、紫音のウエディングドレス姿を見ることができた。
ーーー
エンゲージリングを交換する時、
柄にもなく俺は泣きそうになって手が震えた。
ベールをあげて、目の前の彼が涙を流した時、
「あぁ、これが幸せなんだ」
と、大きな幸福感に満たされた。
誓いのキス。
俺は今までの紫音との思い出を振り返りながら、
何度も何度も唇を重ねた。
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