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《番外編》ピカピカの1年生④
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「おまえランドセル赤色なの〜?」
「えー!だっせー!女の子みたーい」
子供たちが移動して体育館で保護者向けの説明会があった後、神谷ママと一緒に教室へ移動すると、先ほど仲良くなっていたクラスメイトとは別のヤンチャそうな男の子が、こうすけ君を取り囲んで罵っていた。
神谷ママが驚いて固まっていて、俺が思わずその子たちに注意しようと足を一歩踏み出す瞬間、廊下から俺を押しのけて1人の男の子が入ってきた。
「こうすけ君に何してるんだよ!!」
こうすけ君の前に立ち、いじめっ子をキッと睨む男の子は麗音だった。
俺と神谷ママはハラハラと胸をざわつかせながら子供たちの様子を見守る。
「なんだよ!こいつのランドセルが赤だから女の子みたいだなって思っただけじゃん!!」
「別にいいじゃん。赤色ってかっこよくない?ヒーローだって主役は赤じゃん。こうすけ君はカッコいいよ!おまえらみたいに人をいじめる奴、カッコ悪!!」
「なっ………!!」
散々な言われように絶句する男の子2人を気にも留めず、麗音は振り返ってこうすけ君の頭を撫でた。
周りのクラスメイト達は麗音とこうすけ君の周りに集まり、「かっこよかった!」「麗音くんってヒーローみたい!」と黄色い声を上げた。
「おーい。喧嘩終わった?なら、仲直りしようか」
一連の流れを見ていた羽柴先生が子供達の所へ歩み寄り、いじめっ子2人にこうすけ君への謝罪をするよう言った。
「「ダサいとか言ってごめんなさい」」
男の子2人はこうすけ君の前に立ち、頭を下げて謝った。
「こうすけ君、いい?」
「うん。謝ってくれてありがとう」
「よし!じゃあ君たちも友達になろうよー!僕は海堂麗音、こっちは神谷広翼。1年間楽しく過ごそ!よろしくね!」
麗音はショボンと不貞腐れて俯く男の子2人の手を握って、笑顔でそう言い、周りの子達も「俺も」「私も」とクラスみんなが仲良くなったのだった。
「すごいね……、麗音くん」
「いや、正直俺もびっくり………」
先生、保護者、そして親である俺を含め全員が、麗音の社交性に度肝を抜かれた1日であった。
− ピカピカの1年生 完 −
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