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《番外編》そうだ、京都へ行こう。⑦
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2日目、今日はお寺巡り。
さすがに小学生だし自由行動なわけなくて集団行動だけど、僕はずっと広翼の隣に居られるからそれで満足だ。
「ねー。麗音くん、神谷くんとばっかり回るんじゃなくて私たちと歩こうよー」
「ほんとほんと!神谷くんだけずるい!私だって麗音くんと歩きたーい!」
クラスメイトの女の子が突然後ろを歩く僕たちのところに来て声をかけてきた。
たまにある広翼への嫉妬だ。
僕が好きで広翼のそばにいるんだから、僕がとやかく言われる分にはいいんだけど、広翼がヤイヤイ言われるのはおかしな話で、いつもこの手の言いがかりは困っている。
「あー…、えっと僕が広翼と歩きたいから……」
「なんでー?いつも一緒にいるじゃん!少しくらいいいよね?ね、神谷くん?」
「そうだよー!独り占めしてズルイ!神谷くん、いいでしょ?」
女の子の圧に負けて、広翼は僕が握っていた手をさりげなく離し、こくこくと頷いた。
僕が一つため息を吐いて、「少しだけだよ」と返事すると、女の子は「やったー!」と両腕に一人ずつピタッとくっついて離れなかった。
それに便乗した他の女の子が「私も」とたくさん来て、広翼はどんどん見えないところまで前に進んでしまった。
───────
やっとクラスの女の子全員と歩き終えた時、清水寺へ続く道へ入り、そこにはたくさんのお土産や食べ歩きができそうな店が立ち並んでいた。
前に進み追いつくと、広翼が限られたお金で買った抹茶ソフトを食べていて、僕は背を屈めてそれをぺろっと舐めた。
「ん、甘…」
「もぉ〜!れーくん、勝手に食べないで!」
「ごめんね、機嫌損ねないでよ。広翼が食べてるもの食べたくなるんだもん。さっきのこともごめん…。僕がちゃんと断ればよかったよね」
「れーくんは悪くないよ……。ちょ、それよりアイス!」
むぅっと頬を膨らした広翼の顔を突きながら、辺りを見渡して広翼が好きそうな食べ物を探す。
視線の先に団子屋が見えて、広翼に一言入れてから団子屋へ行き、みたらし団子を2串買った。
「広翼〜、待った?………って、広翼は?みんなもいない……」
さっき広翼と別れたところへ戻ったが、勝手に列を抜けたためクラスの集団からも離れてしまったし、さらには広翼の姿も見つからない。
人が多すぎて探すことも難しそうだ。
広翼はクラスの奴について行ったんだろうと、とりあえずみんなに追いつくため清水寺へ続く道を進んだ。
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