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《番外編》卒業式③
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「卒業の言葉。卒業生代表、海堂麗音」
「はい」
卒業証書授与の前に卒業生代表として麗音が話すことは事前に聞いていた。
ピンと背筋を伸ばし、凛とした立ち姿に目を奪われた人たちは、ぼぅっと麗音を見つめていた。
メリハリのある動きで壇上へ上がり、そしてステージへ立って会場や来賓、保護者に一礼をして紙を開いた。
俺の時は小学校の卒業生の言葉はみんなで呼びかけをしたのになぁ…と少し特殊なこの光景に驚きながらも耳を傾けた。
「本日は僕たちのためにこのような盛大な卒業式を開いていただきましてありがとうございます。
思い返してみれば、小学校生活6年間、初めての授業への取り組みや、初めての課外活動、運動会に修学旅行。本当に様々な経験を積み、沢山の学びを得ることができました。本日で僕たちは初等部という過程を終え、春からは中等部に入学します。ここ、紅夜学園では中等部からは男子校へと変わり、今まで仲良くしてきた女性の方々とは離れてしまいます。勉学も今までよりさらに難しくなり、部活動も活発になっていく今後、沢山の不安はありますが、新しい経験ができるという喜びを噛み締めて過ごしていきたいと思います。
最後になりましたが、校長先生をはじめ、諸先生方、本当にありがとうございました。そして、お父さん、お母さん、本当にお世話になりました。まだまだ未熟な僕たちはこれからも沢山迷惑をかけるかもしれません。どうかこれからも温かく見守っていてください。
卒業生を代表して、最後にもう一度心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。卒業生代表、海堂麗音」
シン…と会場が息を呑み、麗音が壇上を降りた瞬間、ドッと拍手が沸き起こった。
小学生とは思えない言葉に会場にいる人皆が驚き、そして卒業生の中には感極まって泣いている子もちらほらいる。
俺も麗音の成長に感動してボロボロと涙が止まらなくて、誠さんに抱きしめてもらって隠れながら泣きじゃくった。
「卒業証書授与、1組一同起立」
そしてとうとう卒業証書授与式が始まった。
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