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屋上
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「てか、なんで今日屋上?」
「今日天気良いから」
空を見上げれば雲一つ無い晴天。今は冬だが、こういうのも悪くない。
俺が座ると、隣に綾が座る。別に構わないが、少し近い気がする。
「いただきます」
二段弁当の蓋を開けると、そこには彩豊かなおかずが詰められていた。
お母さんの作っていた弁当も綺麗だったが、綾のも負けず劣らず凄い。
一つを取り、口に運ぶ。やっぱり、綾の料理は美味しい。
「どう?美味しい?」
「美味しい。冷めても普通に美味しいよ」
「ふふっ、どういたしまして。料理はするけど弁当作るのは初めてだから良かった」
「ほんと綾って器用だよな」
綾には言ってやらないが、俺は綾の卵焼きが好きだ。
「ご馳走様」
「お粗末様です」
食べ終えた俺は、本を開き読み始める。その隣で綾はその様子をじっ、と見つめてきた。
最初は気にせず本に没頭していたが、段々その視線にむずがゆくなってくる。
「あの、読みづらいんだけど」
「ん〜?気にしないで」
「いや俺が気にするんだよ。あんまり見られても嬉しくない」
「え〜俺が見てたいだけなのに。だって俺暇なんだもん」
「んじゃ教室戻れば良いじゃん。皆と話してこいよ」
「なんて冷たい……俺は瑞貴といたいの」
寒い台詞を吐かれ、背筋が寒くなる。口説かれてるようだが俺には全くキュンと来ない。
このまま本を読んでいてもいいが、視線を向けられてるのも耐え難い。
はぁ、と本を閉じ、綾に向き合う。
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