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俺が嫌いなもの②
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そう、昔から雷が怖かった。ピカッと光ってその一瞬の間、そして響く地鳴りの音。
全てが怖くて、誰かがいないと不安になってしまう。
最近は雷もあまり無くて油断していたが、今は最悪な事に一人だ。
「っ、やだ、やだ………」
怖い、怖い、怖い。遠くで鳴っても、近くで鳴っても。
泣きそうな気持ちになって、胸がざわめく。
そう思った時、ゴロゴロ……、と雷が鳴った。身体がビクッ、と反応して、震える。
止めて、怖いよ、誰か助けて、そばにいて。
ソファに身体を縮こませ、うずくまる。
耳を塞いでも、雷の音が聞こえる。涙が目尻に浮かんでいく。
その瞬間、空から一筋の光が落ちた。
「ひっ…………!!」
雷が落ちて、地鳴りが響く。自分の身体を抱きしめるように腕を回すけど、不安が解けない。
早く、誰か。
助けて。
「綾っ…………」
ドアが開く音が聞こえた。ガサガサと音を立てて、ゴソゴソと靴を脱ぐ音が聞こえる。
「ただいま〜、雨が降ってくるなんて聞いてないよ〜」
「綾………」
綾が、帰ってきた。顔を上げると、少し濡れた綾が立っていた。
「瑞貴?どうしたの、なんかあった?」
「綾っ………」
目尻から溜まった涙が零れ落ち、震える手を伸ばす。
すると、また雷が落ちた。今度は、近い場所に。
「ひっ………!!」
「瑞貴……っ、大丈夫?雷怖い?」
ガタガタと震える肩に、綾の手が触れる。外から帰ってきた手は冷たい。
でも、人の手なのは変わらない。
「綾っ、綾………、やだ、怖い、怖いっ」
狂った様に、綾の名前を呼ぶ。安心したくて、誰かに縋りたくてたまらない。
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