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優しい
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「大丈夫、俺がいるから」
「っ………」
ボロボロと涙を零す俺を、綾は抱きしめてくれた。胸の中にあった不安が少しずつ、溶けていく。
抱きしめ返すのに躊躇い、服の裾を掴む。綾は苦笑したが、俺にとっては問題だ。
「抱きしめてくれてもいいのに。ほら、ぎゅーしてあげるからもっとこっち来て」
「ん…」
自分から綾に擦り寄り、しゃがんだ状態の綾に乗っかる。
髪の毛から水滴が垂れて冷たかったが、今はそんなの気にしない。
少しでも安心したくて、人の温もりを感じたくて綾に抱きついた。
綾はさっきよりも、強く優しく抱きしめ返してくれた。
「どう?落ち着いた?」
「少しは…ごめん」
「なんで謝るのさ〜、怖い時は怖いって言っていいんだから」
「でも、俺迷惑かけてる……」
「俺がいつ迷惑なんて言ったよ〜、むしろ無理やり同棲申し込んだ俺の方が迷惑じゃない?」
「……そう、でも無い……」
「………瑞貴がデレてる」
何気ない会話のおかげで心が安らいでいく。まだ外でゴロゴロと雷は鳴っていて身体が反応する。
その時その時で綾は俺の背中を撫でてくれて、凄く安心した。
「でもこの体勢色々とやばくない?」
「?」
「いや、なんというかイヤらしい気分になるというか」
「………変態」
今綾はソファに座っていて、俺はその上に跨って抱きしめ合っている状態。
今は不可抗力だからしょうがないと頭の中で言い訳をする。
「これは瑞貴が変な事してるって感じだね」
「ちっ、違……っ」
「ふふっ、照れちゃって可愛い〜」
綾を見下ろす状態で睨むも、まだ目尻に涙が残っていて効果が無い。
頬に手が触れ、涙の跡を撫でられる。
「誰にも見せたくないなぁ……瑞貴の泣き顔」
「誰が見せるか」
「えっ、それって俺だけって事……?告白??」
「違う。少しでもかっこいいと思った俺が馬鹿だった」
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