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「…………ふぅ」
休み時間、新しく買った本を読む。だが、やはり何故か頭に入ってこない。
一体どうしたというのだろう。最近の俺はどこかおかしい。
綾と同棲し始めてから、俺の生活だけでなく心も変わり始めてる。
あれだけ最初に好きにならないと言っていたのに心が揺らぎ始めてる。
「どうしたもんだか……」
ボソリと呟き、当の本人のいる後ろを見る。あんな女子に冷たくしたのにも関わらず、派手なメイクやら香水をしている女子に囲まれていた。
それを見て胸が痛くなるなんて。
さっきからため息しか出ない。
「一ヶ月が経てば終わり……そうだ終わるんだ」
「あ、あの………」
ふと、前の方から声が聞こえた。弱々しい蚊の鳴くような声。
前を振り向くと、そこには赤い髪の毛の男子がたっていた。
タレ目は気弱そうな印象を与え、セーターの萌え袖は小動物感を与える。
「俺?」
「うん……その、読んでる本……」
「あぁ…これ?これがどうかしたの?」
「そっ、その、それ俺も読んだんだ……っ!周りに同じ本読んでる人、あんまり見なくて……」
「ほんと!?これまだ読み途中なんだけど面白いよね」
「あのね、もう読んだか分かんないけどここの部分凄くキャラがかっこいいの!」
初めて、綾以外で人と接したかもしれない。本の話で盛り上がるのも、綾以外は初めて。
俺は本の話をするのに夢中で、後から刺さるような目線に気づかなかった。
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