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幸せ
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「も〜お父さん待ちくたびれてるわよ、早く入りなさい」
「ご、ごめんお母さん」
少し腫れた目を冷やしたり着替えたりしていたら時間も過ぎてしまった。
「すいません、俺がちょっとやらかしちゃって」
「あら〜いいのよ、どうせ瑞貴が馬鹿したんでしょ?気にしないでいいわ」
「お母さん、俺と綾の対応違くない?」
綾をちらりとみると、丁度目が合った。微笑む綾に少し照れくさくなって、顔を背ける。
ここまで来る時、手を繋いで歩いてきた。好きな人と触れ合うととても離しがたくて。
「瑞貴、誕生日おめでとう」
「ありがとう、お父さん」
「気づいたらもうこんなに大きくなって……小さかった頃が少し前に感じるわ」
「それ毎年言ってるよね、俺ちゃんと成長してるよ」
「瑞貴の小さい頃かぁ……見てみたい」
「ちょっ、絶対やだ」
お母さんからは猫の抱き枕、お父さんからは絶版になった欲しかった本。
ちなみに綾からはお揃いのネックレスを貰った。指輪が通っていて、内側に文字が書いてあったが読めなかった。
生憎英語は得意じゃないので、後で調べてみようと思う。
「瑞貴」
「ん?」
「誕生日、おめでとう」
「……ありがとう」
帰り道、また手を繋いで歩く。外には白い息が吹いて、より寒さを感じる。
「料理美味しかった〜」
「久々に食べたけど美味しかったな」
「今度瑞貴の料理も食べたいな〜」
「……そのうちな」
ふと、今後は同棲生活はどうするのだろうと思う。一応期限は一ヶ月と決まっているし、お試し期間というのは過ぎたようなものだ。
「綾、同棲ってこれから…………」
「ん〜?あぁ、それならまた期間延ばしてもらったから大丈夫だよ」
「いつの間に………」
不意に、綾が手を強く握って立ち止まる。背中にぶつかりそうになって、なんとか立ち止まった。
「綾?」
「瑞貴、目つぶって」
不思議に思いながらも、目をつむる。顔に影が出来たと思うと、唇に何かが触れた。
温かく、柔らかいもの。それが唇と気づくのは一瞬で。
「っ!?」
「こっちがほんとのプレゼント。これからも一緒にいようね」
あまりも甘い、溶けそうな台詞。そんな言葉にほだされてしまう俺も俺なんだろうな。
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