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なんだか気になって
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結局、電車の中では本を読めず降りるまで手が繋がったままだった。
綾は嬉しそうに笑っているが、俺はずっとヒヤヒヤしていた。
俺と綾は別世界の人。そう何度も頭で言い聞かせ、綾と離れて歩いていく。
「……………」
「…?おーい、灯架〜」
「はぇ?」
「なんかぼーっとしてるけどどうした?」
「いいいいや!?何でもないよ、うん何でも!!」
「ならいいけど……」
俺は朝から変です。
何をしてても、あの二人の光景が頭から離れません。
何故だろう。こんなにも胸が痛いのは。
少しだけ意識が飛んでいて、顔を覗き込まれて心配されました。
その時、胸はトクンと温かくなって、すぐに痛みに変わりました。
俺は病気にでもかかったのでしょうか。
ずっと、瑞貴君を見ていたいと思ってしまうのです。
「…………ねぇ瑞貴君」
「ん〜?」
「瑞貴君って、好きな人……いる?」
「んぶっ」
気になって、聞いてみる。瑞貴君は予想外だったのか、飲んでいたレモンティーでむせていました。
自分でも、分かりきってるんだろうけどちゃんと聞きたいと思ってしまいました。
「いやあの、この前聞いてきたからいるのかな〜って」
「あぁ、あの時はありがとう……好きな人は……い、いることにはいる」
その時、俺は見た。
頬杖をつき、目を伏せがちにして見た方向には綾君がいたことを。
俺は、瑞貴君を初めて可愛いと思いました。
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