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失いたくない友達
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「どう?落ち着いた」
「なん、となく……」
過呼吸気味になりかけた俺はなんとか呼吸が落ち着いてきた。
なにかと綾に迷惑をかけてしまって、申し訳ない。
「……なんかあったの?」
「………」
「話したくないなら話さなくても大丈夫、ただ、辛いなら言って欲しい」
「………怒らない?」
「怒らない」
「嫌いに、ならない?」
「瑞貴の事嫌いになる訳ないじゃん、何があっても好きでいるよ」
「…………あのね」
俺は、朝起きた出来事を全部話した。好きって言われた事、抱きしめられて口端にキスされた事。
キスされた事が、浮気みたいな感じに思えて苦しかった事、このまま友達でいれるかが心配だった事、全部を話した。
たった一日で重くなった心を少しずつ軽くしていく。
綾は黙って、じっ、と聞いててくれた。
話し終えると、また涙がじわじわと浮かんできて溜まっていく。
目尻に溜まった涙を腹の指で拭いながら、綾は口を開いた。
「………俺に言ってくれてありがとう。辛かったし、苦しかったでしょ?」
「……うん」
「でもね、俺なんか嬉しい。不謹慎だけど」
「?」
「だって、浮気みたいな感じになったって事は少しは俺の事意識してくれてるんだな〜って」
「なっ」
「ふふっ、よしよし、頑張った頑張った」
そうやって頭を撫でられると、子供になったようでちょっと不満だ。
子供扱いされるのは好きじゃないけど、撫でられるのはちょっと好き。
「それで、瑞貴は灯架君と友達でいたいんでしょ?」
「う、うん」
「じゃあそう伝えてあげればいいんだよ。有耶無耶にされる方が、よっぽど辛いし。
ちゃんと自分の気持ちを伝えれば、大丈夫だよ」
綾はそう言って、優しい目をして笑う。綾に言われると、不安が薄れていく感じがした。
自分の気持ちをちゃんと伝えれば、灯架に伝わるはず。
明日、ちゃんと話をしよう。そして、気持ちを伝えてくれた灯架に、ちゃんと自分の気持ちを伝えるんだ。
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